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- 2012/04/12 掲載
ある油圧機器メーカー社長が掲げた「特注品で売上を伸ばす」を実現したBPMの取り組み
「データ」よりも「人の流れ」が重要
「データ」よりも、「人の流れ」が重要
本パネルディスカッションに先駆けて、日本BPM協会では、BPMの新・推進フレームワークを開発。同セッションで初めて公開された。このフレームワーク作成のワーキンググループで中心的な役割を担ったのが岩田氏だ。もともとBPMに関するフレームワークは、岩田氏が中心になって2006年時点で作られていたものの、事例も少なく、「BPMの常識を作ろうということで作った」に過ぎなかった。
その後、BPMに取り組む企業も着実に増える一方で、「そのお手本となるもの、教本がなかった」(岩田氏)。そこで、新たなワーキンググループ(WG)が立ち上げられた。同WGで新フレームワークを策定するにあたって、まず岩田氏はあるべきBPMの運用の「仮説」をもとに、BPMとは何かを定義していったという。その結果、基本的な考え方としてBPMは組織横断型で業務プロセスを管理するためのものと定めた。
「情報は各組織につながるが、その裏にある人の作業や手順はつながっていない。そのため、組織間の空白域をいかにして管理するのか、ということがBPMでもっとも重要だ」(岩田氏)
また、既存の業務アプリケーションでは、データベース(DB)アプリケーションが中心にあるが、BPMでは、中央にビジネス・プロセスがある。つまり管理主体が、データではなく、ビジネス・プロセスになる。BPMを進めるのはユーザー企業であり、現場だ。しかし、そこでITとの乖離が起きる。こうした溝を埋める役割を担うものとなる。
さらに、こうした取り組みは継続的に行われる必要がある。第1版では継続的改善サイクルを1サイクルで考えていたが、今回の第2版ではこれを3つに広げた。その3つとは、PC(プロセス改革推進)、PD(プロセス開発)、PO(プロセスオペレーション)だ。
まず戦略、成果目標を設定すると(PC)、実現に向けた分析・設計プロジェクト(PD)を立ち上げることになる。それを実際の現場に配備、適用する(PO)。
「ポイントは、現場管理が日常的に業務遂行状況を直視し問題を随時解決していくこと、業務を現場主体で最適化していくということ」(岩田氏)
これら3つの活動領域には、それぞれ推進していくためのポイント(推進キー)があるという。PCではそれは「戦略計画」となる。成果目標を決定しなければ、ビジネスプロセス改革はままならない。次にPDでは、実現するためのBPMやSOAテクノロジーが推進キーに該当する。ビジネス・プロセスを分解、再構築し、企業資産として管理できる仕組み作りを行う。そして岩田氏が特に重視するのが最後のPOで、その推進キーは「現場力」であるとする。
「日々改善する努力がないと、BPMは生きてこない」(岩田氏)
【次ページ】油圧機器メーカーが前年比190%増を実現したBPMへの取り組み方法
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