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  • 2015/11/09 掲載

従業員30万人のGEが、なぜ「スタートアップのスピード感」を持っているのか

日本GE 代表取締役 GEキャピタル社長兼CEO 安渕聖司氏に聞く

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発明王エジソンが1876年に創業した会社に由来し、世界150か国以上に約30万人もの従業員を抱えるGE。航空機エンジン、医療機器、鉄道機器、発電・送電機器など重厚長大な産業を中心に、幅広いビジネスを手がける同社だが、その動きは非常に軽快だ。トヨタ式に着想を得て発展させた「リーンシックスシグマ」をはじめ、近年では「インダストリアル・インターネット」「シンプリフィケーション」「ファストワークス」などの新しい概念を掲げ、今なお変化を続けている。GEはなぜ変わり続けられるのか。日本GE 代表取締役でGEキャピタル社長兼CEOの安渕聖司氏に話を聞いた。
(聞き手は編集部 松尾慎司)

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日本GE 代表取締役 GEキャピタル社長兼CEO 安渕 聖司 氏

1979年、早稲田大学政治経済学部卒、三菱商事入社。1990年、ハーバード・ビジネススクールMBA修了。1999年、米投資ファンド、リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。2001年、UBS証券会社入社。投資銀行本部の運輸および民営化責任者として、多くの大型案件を手がける。2006年、GEコマーシャル・ファイナンスにアジア地域事業開発担当副社長として入社。2007年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEOに就任。2009年、GEキャピタル社長兼CEOに就任し、日本の金融サービス事業全般を統括、現在に至る。著書に「GE世界基準の仕事術」(新潮社)がある。

変化に対応できなければ未来はない

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──GEは今、「自己変革」を推し進めています。その背景には、何があるのでしょうか。

安渕氏:もともとGEは「イノベーションとテクノロジーを駆使して、世界中の困難な問題を解く」というミッションを持っている企業で、特に業種を限定しているわけではありません。

 現在は、新興国を中心に変化のスピードが速く、その変動の幅も大きくなってきています。こうした目まぐるしい環境変化の中で、何年もかけて大きな製品開発をしていることが、果たして世の中のニーズを満たしていることになるのか。もっと簡便で簡素な機能の製品を持ち運びできるほうが、お客さまはうれしいのではないか。GEはそう考えるようになったのです。

 たとえば大規模、中規模、小規模という3種類のプロダクトラインがあった場合、従来は3年をかけて同時並行で改善し、新しいものを作って、3年後に一緒にローンチするという方法を採っていました。しかし各プロダクトを必要としているのは同じお客さまではありません。同時にリリースする必要はなく、お客さまが欲しいといっているものは速く出すほうがいい。

 また以前は、機能が高い製品をお客さまはより好むだろうという前提に立っていました。しかし、機械類が高度化してくると、製品の機能を増やしても顧客ニーズを満たせるとは限りません。そのとき、「お客さまの求めるものが、一体どこにあるのか」を考えることが非常に重要になります。我々はもっとお客さまの声を聞かなければならないということに気が付いたのです。

 GEでは、社外のさまざまなベンチャー企業の人たちをリーダーシップミーティングに招いてお話をお聞きし、さらに実際に我々のビジネスの中に入ってもらってそのやり方を見てもらうという取り組みを行っています。こうした「外からの目」も取り込んで、どこを速くできるのか、あるいは簡単にできるのかをチェックして、変化のスピードをアップし、意思決定もよりお客さまに近いところに権限移譲していっています。

 これがまさに「シンプリフィケーョン(簡素化)」で、お客さまの立場に立ち、ムリ、ムダを見直すとともに、テクノロジーを活用してビジネスを加速していくのです。言い換えれば、組織をシンプルにして、意思決定を含む全業務プロセスを簡素化するための取り組みです。

 今、最も気を付けなければならないことは、お客さま自身の変化のスピードが非常に速くなっていることです。それについて行けなければ、我々の未来はありません。アニュアルレポートでも謳っていますが、GEは今、まさに「企業文化の転換期」にあると言えます。

【次ページ】新しい考え方をどうやって30万人に浸透させていくのか
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