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「ロボットは敷居が高い」、「ロボットは製造技術の専門担当者がいる『大企業』でしか使えない」と思っている人は少なくない。だが実際には「中小企業」こそ、ロボット導入によって生産性を引き上げられる余地は大きく、競争力強化へと直結する一手となり得る。導入の技術ハードルも徐々に下がりつつあるし、中小企業向けの導入補助金も用意されている。本稿ではそうしたさまざまな補助金や税額控除、企業で簡単に使えるロボットを紹介する。
本格的な人口減少時代へ、「人手不足は解消しない」
すでに何度も言ってきたことだが、人手不足は今後さらに深刻化する。現状、ここから改善することはない。
すでに、あらゆる地域、あらゆる産業で人手は不足している。人手集めは今後さらに難しくなり、人材は取り合いになる。優秀な人材集を集めることは、さらに難しくなる。人材プール自体が縮小するので、求める頭数を集められたとしても人材の質自体も低下すると思ったほうが良い。
今も「この人がいるからきれいな仕事ができている」という現場も少なくないと思うが、今後は、ごくごく普通の人材で業務を回せるよう、属人的要素を減らす必要がある。
そのための手段の1つがいわゆるDX、つまりデジタル技術によるオペレーション改革であり、自動化だ。ロボット活用も、その一部である。使えるシーンでは積極的に使ったほうが良い。
【旅館導入事例】湯本富士屋ホテルさま - 清掃ロボット「PUDU CC1」
配膳ロボットや掃除ロボットのように使い方がある程度明確なものもあるが、残念ながら自動化機器のほとんどは、誰でもすぐに使いこなすことができ、生産性が爆上がりするといったものではない。単品でも使いこなしにも時間がかかるし、失敗する場合もある。さらに、いろいろな機器を接続すると速度はたいてい落ちる。想定してなかったことや、よく分からないことも起こる。
だが、今自動化を進めている多くの企業も、さまざまな失敗に直面しながら、それを糧として乗り越えてきて今日があるのだ。今後、人手にはできるだけ頼らずに業務を回していくためには、オペレーションを変え、自動化機器を活用するしかない。
自動化は「やるかやらないか」ではなく、「どうやるか」の問題なのだ。何事も同じだが、どうにもならなくなってしまったからでは、もう何もできない。そうなってからでは遅いのだ。
自動化はどこから手をつけるべきか?
「そうは言っても」という現場も多い。そういうケースでは多くの場合、最初から目標を高く設定し過ぎている。だが「千里の道も1歩から」だ。まずは、ロボットとまでいかなくても、「使えば便利」あるいは「使えば楽になる」くらいの新しい道具を入れることから始めると良いのではないか。
そして新しい道具の便利さを現場にも実感してもらい、同時に活用するための環境も徐々に整えていく。そして機器の自動化レベルを少しずつ上げていく。そんなやり方で、ゆっくりと自動化機器の導入を進めるやり方もありだ。
具体的には、からくりや、人が手押しで動かす器具の類いからで良いのだ。それが便利だと感じてもらえば、その機器を置いておくだけのスペースは存在意義を認められたということだ。そうしたら今度は少しだけモーターを入れたり、自動で動く機器へとレベルを上げていく。そこから自動搬送ロボットなどの活用へと進む。
「KeiganALI」 国際物流総合展2023
最初からじっくり考えて綿密に計画を練り上げて大々的に実施する自動化も良いが、徐々に、いわば「場当たり的」に進める自動化もあって良いのである。ロボットはいわば「賢い電動工具」だと割り切り、右から左へものを運ぶだけのロボットからでも良い。今はデパレタイズ/パレタイズするだけのロボットなども代理店からパッケージ化されて販売されている。
【導入事例】株式会社サラダコスモさま 養老生産センター 協働ロボットパレタイザー導入事例Salad Cosmo Co. Cobot palletizer introduction case
また、
本連載バックナンバーでも触れたように、パートタイマーでも、責任感だけ要求されるような、精神的負荷の高い仕事も多い。それらを自動化するのも良い。
人手不足進行に伴い、高齢者、女性の労働者比率も上昇している。作業者がつらい作業をどう減らすか。とにかく「現場が楽になる」ことから自動化を進める。ちょっとした作業や定型作業はロボットに置き換える。そうでないと社員の定着率も上がらない。せっかく集めた人も出ていってしまう。結果的にコスト低下にもつながるはずだ。
「
中小企業白書」などによると、中小企業の生産性には課題がある。しかし、「今生産性が低い」ということは、「今後はまだまだ伸び代がある」ということでもある。
国も補助金というかたちで中小企業の生産性向上に力を入れている。
【次ページ】ロボット導入を「半額補助する」補助金
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