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  • 2024/01/26 掲載

中国格安協働ロボの快進撃、「あれ見たか」業界関係者の注目集める理由

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将来の予測は常に難しいものだが、2024年はいきなり想定外の大きな出来事がいくつも起きた。まだ始まったばかりなので、今後もさまざまな変化が起こり、対応しなければならないのだろう。生産年齢人口の減少による人手不足はさらに進む。2023年末に行われた「2023国際ロボット展」(iREX)の展示を見ていても、大局的にも細部においても、柔軟性ある対応が求められることは間違いなさそうだ。変化し続ける環境に対応するための技術と、技術が適用できる範囲を見極めて積極的に使っていくビジネス判断が必要となる。優れた事例はどんどん共有していきたい。
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「2023国際ロボット展」でのリンクスとカワダロボティクスによるロボットビジョン AI検査 コラボデモ
(写真:筆者撮影)

NHK「ゆく年くる年」にもロボットが登場

 ご覧になった方も多いだろうが、2023年末に放送されたNHK「ゆく年くる年」で、京浜トラックターミナルの物流倉庫で稼働中のロボットの様子が放映された。NHKなので詳細は報じられていなかったが、前後の映像から東京都大田区・京浜トラックターミナル「ダイナベース」内に東邦ホールディングスが設置した、ダイフクの自動倉庫とロボットを使った「TBC(東邦薬品物流センター)ダイナベース」の様子と思われた。ロボット自体はMujinによるもので、医薬品のピースピッキングを行っている。

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TBCダイナベースのロボット。99.99999%以上の出荷精度を目指している

 TBCダイナベースの詳細はダイフクの事例紹介ページや、日本薬学会の機関誌「ファルマシア」などで閲覧できるので、興味がある方はリンク先を読んでほしい。

 筆者は愛媛県の実家でコタツに入って、定番の「紅白歌合戦」からの流れでボーッとテレビを見ていたのだが、いきなりロボットが出てきて驚いた。そして改めて物流・運送業界のいわゆる「2024年問題」や、その解決のためのソリューションとしてのロボット活用が、これまでよりも圧倒的に身近になっていることを実感する年明けとなった。なお2023年のNHK「ゆく年くる年」のテーマは「希望を紡ぐ 明日への歩み」だった。

被災地避難所のニーズは「おにぎりロボット」

 2024年1月1日元旦、能登半島地震が発生した。M7.6、志賀町では最大震度7を観測。被害は大きく、1月中旬時点でも全貌はまだ判明していない。

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2024年能登半島地震によって石川県輪島市門前町の鹿磯漁港では最大4m程度の隆起が起き岩棚が干上がった
(出典:産業技術総合研究所(産総研) 地質調査総合センターの調査報告提供)

 SNS上でもいろいろな情報が溢(あふ)れているが、残念ながら、いわゆるレスキューロボットの類いが活躍したという話はまだ聞かない。実際に現場で活動する消防、そのほかが事前に持っていなければ使われることは難しい。

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「だいち2号」観測データによる能登半島地震に伴う上下方向/東西方向の地殻変動
(出典:国土地理院提供)

 一方、被災地の避難所で料理をしている人からの要望として「おにぎりロボット」が欲しい、という投稿を複数見かけた。「おにぎりロボット」とは、主に業務用として厨房(ちゅうぼう)、あるいは食品工場で使われている機械で、炊飯されたご飯を投入すると1時間に数百個のおにぎりを自動で作ってくれる。

 メーカーとしては不二精機や鈴茂器工が有名だ。2022年の「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」の紹介の一部として本連載でも触れた。

【公式・省人省力】できたておにぎり製造省力化提案-不二精機株式会社-

 それほど珍しい機材ではなく、最近はホテルの中でも朝食提供用を用途として「おにぎりロボット」を設置しているところもあるので、見かけたことがある人も多いはずだ。普段はそのような食堂や弁当屋などで使っている機材を、何かあった場合には即座に対応できるように移設するといった取り決めを、自治体等が民間事業者と交わしておくといいのかもしれない。日々の業務の利便性を上げ、省力化しておくことが、いざというときの地域全体の対応力を向上させる。

【鈴茂器工公式/SUZUMO】寿司・おむすび兼用 お櫃型ロボット 使用イメージ動画 SSG-GTO / Sushi / Omusubi /Onigiri

 災害の被害を少しでも減らす、いわゆる「減災」のためには、あらゆる面からレジリエンス(しなやかな回復力)を高めておく必要がある。普段は見えていない、あるいは予測困難なリスクに対応するためには、事前の準備がとても重要だ。

 いざというときになってからでは間に合わないし、どうしようもないからだ。BCP(事業継続計画)の観点からも重要性はいうまでもない。

 災害対応は長引く。これからも時間経過にしたがって、さまざまな技術が順繰りに必要とされるだろう。たとえば被災地での当事者の感情に寄り添う心のケアにも、技術が貢献できるかもしれない。居住環境が大きく変わってしまった家族のサポートに使える技術もあるだろう。

 高齢者は何かと我慢してしまいがちだったり、自分が我慢していることに気がついていないこともある。尿意などの情報を本人が気づいてなくても事前に拾い上げて通知するセンサー類も見守りには有効なはずだ。

パナソニック cocoropa(ココロパ) 2023国際ロボット展

 さらに、災害から産業を復興するときにも、単に元に戻すのではなく、大なり小なり新しい技術を投入することになるだろう。そこにもロボットや各種制御機器は使えるはずだ。とにかく、意外なかたちでも何でもいいので、少しでも人を助けられる技術の投入と活躍を期待している。 【次ページ】国際ロボット展で存在感を増す中国製ロボと協働ロボ
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