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  • 2023/10/03 掲載

いまだ「人手頼み」物流業界の深刻、これからの本当の危機をロボットは支えられるか

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あらゆる業界が人手不足だ。物流分野でのロボット活用は、ついに必要性を認められるに至り、物流の展示会でロボットが出てくるのは当たり前になった。新しい技術も続々と登場している。だが現場での活用はまだまだ不十分だ。「未来の物流」を支えるために、今後のロボット技術は何ができるのだろうか。
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THKの「PRS(ピッキングロボットハンドシステム)」

国際物流総合展は「ほぼロボット展」の様相に

 国際物流総合展2023「第3回 INNOVATION EXPO」が2023年9月13日から15日の日程で、東京ビッグサイトで行われた。今回の会場は、「ほぼロボット展」と言っていいほど、ロボットにあふれていた。

ギークプラスの「Pop Pick」

 もはや一般の人の目にもおなじみとなりつつあるだろう棚を丸ごと搬送するロボット各種、棚のあいだを動き回るAGV(自動搬送ロボット)やAMR(人協働ロボット)、ソート(仕分け)ロボット、そして自動倉庫や自動フォークリフトなどが各ブースの中で動き回っていた。もちろん、どのソリューションも以前よりも効率、容積あたりの保管容量、生産性を上げていることをアピールしている。

マルチウエイロボットの自動フォークリフト

 搬送ロボットも数百キロ運べる大型モデルもあれば、気軽に使える小型ロボットまで、だいぶいろいろと種類がそろってきている。選択肢が増えたぶん、分かりにくくなっている側面もあるかもしれない。

自律移動ロボット「KeiganALI」

 ソーターとAMR、さらに協働アームロボットを使うことで、さらなる自動化を提案しているブースもあった。ソーターへの投入も自動化できるし、人と一緒にロボットが作業可能だ。仮にロボットが8割程度しかピッキングできなくても、残りを人が作業すればいいとなれば、そのぶん少ない人数で作業ができる。

 ピッキング技術自体が、まだこなれていないので、実際にどこまで普及するかはまだまだ不透明だが、やがてはこうなる可能性は高い。

ベーヴェシステックジャパン、オプティソーターと協働ロボットの組み合わせ

 また、貨物を3Dスキャンして測定するセンサーやソリューションを展開している企業も目立った。現在のカメラは一瞬で3辺の長さを測定することができる。当然、そのぶん作業は速くなり、人件費削減も可能になる。測定自体も安定する。

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業務用マシンビジョンで広く知られるコグネックスの寸法測定システム

小売での重量物ピッキングにもAMRを活用

 展示の中から、目新しかったものをいくつかご紹介しておきたい。意外と「これは今までなかったな」と思ったのが、「ForwardX Robotics(霊動科技)」が紹介していた使い方だ。棚と棚のあいだでAMRを使ってピッキングを助けるものなのだが、飲料をケース単位で保管している倉庫などで使うことを想定し、大型のAMR搬送ロボットに指定されたケースごと載せて運ばせる。

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ForwardX Roboticsによる小売倉庫での重量物ピッキングソリューション
(写真:筆者撮影)

JD.com Increases Productivity by 2.36x with ForwardX Max Solution

 今のAMRを使った取り組みの多くが、主にアパレルなどでの小物を使うことを想定しているのに対し、小売倉庫での重量物搬送を狙う。もちろん、さらに小型のAMRとの組み合わせも可能だ。今までにも、あってもおかしくなかった使われ方なのだが、これは「なるほど」と思った。「コロンブスの卵」感がある。

 ForwardX Roboticsはこのほか、立体型仕分けロボット「オムニソーター」、出荷の順番を調整できる順立て(希望順に荷物をそろえること)ロボット「オムニフロー」なども紹介していた。ストレージと順立てを兼ねる。

 なおForwardX Roboticsは、2022年の段階で累計1億ドル以上を調達している。今後の動向にも注目したいAMR企業の一つだ。 【次ページ】飲料缶をまとめて6缶取れるピッキングハンド
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