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食品分野で進化する自動化ソリューションを集めた「FOOD展2024」が東京ビッグサイトで開催された。そこでは、食品工場や物流現場の業務を効率化するためのロボット技術や無人搬送車(AGV/AMR)など、最新の取り組みが多数紹介された。さらに、セミナーでは専門家やスタートアップ企業の代表たちが、各現場の課題と解決策を具体的に示し自動化の持つ可能性を語った。搬送ロボットを使った労働負荷の軽減や、環境変化にフレキシブルに対応可能な汎用(はんよう)機を目指したロボットの高速開発など、業界を切り拓こうとしているスタートアップの取り組みの一端をレポートする。
「食品物流」で活用が広がる無人搬送車
10月9日~11日、給食や大量調理設備、食品工場設備、食品物流機器や資材に関する複数の展示会から構成される「FOOD展2024」が東京ビッグサイトにて開催された。最終日には「倉庫自動化の最新情報」と題して主催者セミナーも行われた。
コーディネーターは上智大学名誉教授の荒木 勉氏。講師は(一社)日本産業車両協会 専務理事の高瀬 健一郎氏のほか、会員企業から
LexxPlussと
四恩システムそれぞれの代表取締役、そしてロボットスタートアップの
Mujin CEOの滝野 一征氏が講演した。
「搬送」は食品に限らず、どの現場でも必ず発生する業務である。それだけに自動化に関するヒントが多い講演だった。大規模な物流センターでは当たり前のように搬送ロボットが使われるようになってきているが、小売や卸での無人搬送車の引き合いも同様に増えてきたという。
なお日本産業車両協会は、有人国産フォークリフトが発表された1948年に設立。その後、フォークリフトのほか、無人搬送車システムのメーカーを中心に構成されている。会員数は2023年時点で26社。
日本産業車両協会では、無人搬送車を磁気テープや光反射テープなどを用いる経路誘導式、車両自体の自己位置推定機能・地図作成機能などを用いる自律移動式、そして特定の人や物の後を追いかける追従式の3つに分けて分類している。それぞれ一長一短あり、環境に合わせて選択する必要がある。高瀬氏は「最近は良いとこ取りをしたハイブリッドタイプも出ている」と紹介した。
使い方も荷物を上に乗せて搬送する積載型(手動移載、自動移載)、けん引型(台車をけん引するもの、下に潜り込んでけん引するもの)などがある。トラックドライバーが荷下ろしなどを行っているが、今は2024年問題などもあり、自動フォークリフトも登場し、活用され始めている。2023年の納入台数は3000台を超えている。
「搬送業務」の自動化を現場改善の最初のトリガーに
続いて会員会社2社が事例を発表した。LexxPluss 代表取締役 CEOの阿蘓 将也氏は、同社の自動けん引技術「
LexxTug」を中心に紹介した。LexxTugは、現場で広く用いられているかご台車や、「カートラック」と呼ばれる6輪台車を無改造で自動搬送するための技術だ。
同社の自動搬送ロボットと組み合わせることで最大500kgまで簡単にけん引できるようになる。走行速度は最大3.5kg。複数台を導入する場合は、同社のフリート制御システムを使う。
同社は2020年創業。従業員数は55名。ハードウェアからソフトウェアまで内製しており、搬送ロボット、群管理システム、周辺機器や設備とのハブとなるIoTデバイスなどを開発、販売している。ソフトウェアにも力を入れており、運用をクラウド上でシミュレーションして確認できる。同社の製品は搬送を主軸に、各種工場や倉庫などで活用されている。
食品倉庫に限らず、台車は幅広く使われている道具だ。人が何かを運ぶ作業では、ほぼ必ず使われていると言っても良い。だがそれは同時に、人に多くの負担がかかっているということでもある。ひたすら歩かなければならないだけではなく、搬送中の転倒の事故も多く、労働災害リスクもある。そこで搬送を自動化するロボット機器が以前から用いられているAGVや、最近台頭してきたAMRだ。
ただ、台車搬送の自動化には意外と手間がかかる。結局、人が搬送を担っている現場が少なくない。阿蘓氏はそのような現場でも簡単に搬送を自動化できるソリューションが「LexxTug」だと紹介した。台車を所定の場所に置くと、ロボットが自動で連結してけん引する。現場を大きく変更する必要がなく、従来の搬送業務と相性がいいのも売りの1つだ。
LexxTug - Automate Cart Tugging Operation
「LexxTug」ではかご台車とロボットはそれぞれ独立しているので、狭い通路でも小回りが利くように動けるという。ロボットの回転半径は38cm。2024年からリリースしており、物流センターなどで活用されている。たとえば山善の倉庫では、2桁台の数が導入されているという。かご車ごとのカスタマイズにも対応する。
多くの自動化ソリューションが存在するものの、小売や卸の現場では諸般の事情により、まだまだ自動化が進んでいないのが実状だ。現場では人が日々、働いている。業務も、人手や歩行を前提として動線が考えられている。
阿蘓氏は、搬送を自動化することで次のようなことが可能になると語った。
- 工程を平準化・標準化
- 自動化を最初のトリガーとして現場を改善していくこと
- APIを使った上位システムとの連携
- 自動化のさらなる推進を進めること
- 検証をソフトウェア上で行い机上で検討すること
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