• 2024/10/31 掲載

次世代の「食品物流」、QRコード不要AGVから惣菜ロボまで…スタートアップ事例(2/3)

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QRコード不要、床の傷や汚れを認識するAGV

 四恩システム 代表取締役 CEOの二田 純慈氏は、同社の持つ、床認識によるガイドレス誘導方式「FSLAM(Floor-SLAM)」、そしてそれを用いたAGVの活用を紹介した。FSLAMは床面自体の「もよう」、すなわち傷や汚れをカメラを使って認識することで、QRコードなどを使わずに自己位置を認識する。

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四恩システム 代表取締役 CEO 二田 純慈氏

 二田氏はまずAGVとAMRの特性から紹介した。二木氏によると「AGVは磁気テープなどで走る経路が決められているため時間にも正確で、工場などでの活用が向いている。一方、AMRは経路が自在で障害物も回避して走行できるため人や障害物が多い場所で運用するには向いているが、そのぶんいつ到着するかについては正確ではない」という。

 ロボットの誘導方式はQRコードやカメラやLiDARを使う方式がある。だが床面に貼るQRコードは損傷することもあるし、LiDAR方式は周辺環境が頻繁に変わる場合は不安定だ。これらが現場でトラブルの元になる。そこで同社は床認識による「FSLAM」を採用している。油や水、スパッタなどの飛散によって床の汚れがひどくなったり傷がついたりしても、常に学習しているのでロバストに対応できる。ただし、大幅に床面自体が変更した場合には見失ってしまうが、その場合でも床面を見ることで再び復帰できるそうだ。

Crew-AGV(カゴ台車搬送AGV低床)

 同社はこのFSLAMを使った低床潜り込み型の搬送ロボット「CREW」を展開している。停止精度はプラスマイナス25mm。なお同社もハードウェアからソフトウェア、複数台のAGVの運行管理ソフトウェア「AgvNavigator」まですべて内製で対応している。同社のAGVはFSLAMだけでなく複数の誘導方式を活用することができ、上位システムとも標準で連携する。

 シミュレーション環境も独自に作っており、AGVの必要台数やスループットを調べることができる。たとえばAGVを2台走らせた場合と3台走らせた場合との比較を具体的に検証できる。さまざまな地点からAGVが搬送指示を受け付けたときに、いつどのような動きをするのか、どこで滞留するのか、搬送経路は増やすべきかどうかといったことを検証して、レポートを作ることができる。もちろん待機時間や充電時間も分かるので、運用の中の波動をどう吸収するべきか、メンテナンス間隔をどうするべきかということも検討できる。

 二田氏は「データをどう使うかは人が知恵を使わないといけない。我々は事実情報を提供する」と語った。

「人の知識に依存しない」改善方法

 Mujin CEO 兼 共同創業者の滝野 一征氏は同社のビジネスを紹介した。同社については本連載でも何度も紹介しているので(たとえば花王の自動倉庫での活用例などをご覧いただきたい)改めてここで述べることはしないが、滝野氏は「ロボットの性能はソフトウェア次第で大きく変わる。これからは柔軟な自動化が求められる。

 専用機ではなく、ロボットとAGVのような汎用機で自動化していくことが重要だ」と述べた。そして同社の提供するロボットコントローラーで周辺設備も含めてすべてをつなげ管理する、いわゆるWES(Warehouse Execution System:倉庫実行システム)に相当する機能を提供してプラットフォームとすると語った。

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Mujin CEO 兼 共同創業者 滝野 一征氏

 全体をMujinコントローラーで扱うことで、いわゆる「デジタルツイン」を構築できる。それによって何か問題があったときに、どこにどんな問題があったのかをすぐに、しかも遠隔から調べることができる。もちろん顧客が実際に購入する前にシミュレーションを行うことも可能だ。

 滝野氏はこのデジタルツインの強みについて「精度が高いので間違った推測を元に改善提案することがない。過剰投資も防げる」と述べ、「ロボットだけでは困りごとすべてを解決することはできない。お客さまがほしいのは、安くフレキシブルで止まらない自動化。それを実現するために追求してきた。間違いないデータが取得できるのが自動化のいいところ。次に何をするべきか、データを元に言える。人の知識に依存しないようにするのが大事」と語った。 【次ページ】経産省によるロボットフレンドリー環境の推進
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