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生活用品のほか、近年では家電でも知られるアイリスオーヤマが、「自立したロボットメーカーを目指す」と発表した。同社は2021年からロボティクス事業を本格始動させ、ソフトバンクロボティクスが開発・製造する「Whiz i」に、アイリスオーヤマ独自のオプション機能を追加できる「Whiz i アイリス エディション)」や各種配膳ロボット等を販売してきた。そして2023年11月には自社工場で製造する水拭き清掃ロボット「BROIT(ブロイト)」を発表。2024年半ばから販売し、2027年度には清掃ロボット関連事業だけで売り上げ1,000億円突破を目指す。これまでのサービスロボット導入実績が累計5000社を突破したことを背景として、一気にロボット事業の成長を目指す戦略だ。
ロボットで世界1億2000万人分の労働の代替を目指す
「BROIT」はすでに11月に開催されたビルメンテナンスに関する商材展示会「ビルメンフェア&クリーンEXPO 2023」や12月に開催された建築・建設関連の専門展示会「JAPAN BUILD TOKYO」などの商談展示会にも出展されており、評判も上々のようだ。
取材に応じてくれたのは広報室の鈴木 幸江氏。11月の会見内容を改めておさらいするかたちで事業背景から教えてくれた。
アイリスオーヤマの2022年度グループ総売上高は7,900億円。商品数は約2万5000点に及ぶ。素材やカテゴリーにとらわれる「業種」ではなくその枠を超える「業態メーカー」と自らを位置付けている。
同社は代表取締役社長の大山 晃弘氏のもと、「新たな社会課題への挑戦」に対して「JAPAN SOLUTION」を掲げている。これまでにも東日本大震災の復興をきっかけとして精米や飲料水事業、リーマンショック時には大手家電事業に在籍していた人材再雇用の受け皿として家電事業を、節電や省エネの動きに合わせてLED照明事業へ注力するなど、各種事業を立ち上げ、成長させてきた。今回のロボティクス事業への本格参入も、労働人口が世界中で減少しており、それに対するソリューションというかたちで始まったという。
日本国内ではロボット化可能産業の労働人口が1800万人、うち、700万人がロボット化できると見積もっており、労働者1人あたり年360万円で計算して、ロボットの潜在需要市場の規模は国内でおおよそ25.2兆円、海外の主要先進国全体では432兆円と見込んでいる。世界では1億2000万人分の労働をロボットで代替できると考え、「グローバル・ロボットメーカーベンダー」を目指すという。
つまり「ロボットメーカーとして、自分たちで作って、自分たちで売る」、そして「世界にチャレンジする」というわけだ。その最初のロボットが、業務用スクラバー型清掃ロボット「BROIT」だ。水拭きで、おおよそ700平方メートルを1時間で掃除できる能力を持つ掃除ロボットである。通常サイズのスーパーマーケットであれば1台でカバーできるという。
将来はロボット単体だけではなく、ロボットや他設備をエッジとして、そこで収集したデータをクラウドでビルや工場そのほか施設全体を管理して、AIで最適化するといったビジネスも視野に入れる。
ソフトバンクと提携、急ピッチで進行中のロボティクス事業
アイリスオーヤマのロボティクス事業を振り返ってみよう。同社は2021年1月にRaaS(Robot As a Service)ナンバーワンを目指すと発表し、ロボティクス事業を本格始動。「アイリスエディション」シリーズの発売を始めた。
2月にはソフトバンクロボティクスとの間のレンタル契約に対する資産管理会社のアイリスロボティクスも設立した。翌2022年2月には中長期的な需要の創造と、ロボット開発の知見を収集するためにソフトバンクロボティクスと資本業務提携を行った。
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Forever21さま Whiz i アイリスエディション活用事例
さらに2023年7月には、ロボットスタートアップのスマイルロボティクスをM&Aで取得した。これにより「ロボットOSの企画・開発から製造・保守まで一気通貫で実現できる体制」を実現する準備が整ったという。そして2023年11月、さらなる自立を見据えて、同社のマザー工場である大連工場で製造する「BROIT」を発表した、という流れになる。
こうやって振り返ると、アイリスオーヤマの動きが非常に速いことがよく分かる。2020年1月から2023年10月までのサービスロボット累計導入社数は、5000社を超えているという。実際の出荷台数は非公開だが、今後もこのフットワークの軽さと、法人向け販売チャネルの強さを持って、今後も清掃ロボット導入を強力に推進していく。「BROIT」の発売は2024年半ばを予定している。価格は月6万円程度のサブスクリプションでの提供を想定する。
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