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- 2025/03/28 掲載
自動車メーカーの「人型ロボット」競争が過熱中、中国EV工場「9割自動化」の凄い実態
モルガンスタンレーが選んだ「ヒューマノイド企業100」
米金融大手モルガンスタンレーは、2025年2月、ヒューマノイド(人型ロボット)に関するレポート「The Humanoid 100: Mapping the Humanoid Robot Value Chain」を公開した。これは世界のメーカーから、人型ロボットのバリューチェーンを形成している部品メーカー、開発メーカーなどを100社選んだものだ。その内訳は、中国・台湾が35社と、米国・カナダの35社と並ぶ結果となった。人型ロボットは米国と中国で量産が始まろうとしていることを示している。
エヌビディアの技術者も注目、中国ロボットベンチャー
2024年後半から、中国のロボットベンチャーはSNSを通じて国際的な話題を次々と提供している。2025年1月には、中国深センのベンチャー「EngineAI」(衆擎機器人)が公開した人型ロボット「SE01」の映像が話題となった。深センの街中をSE01が歩いているだけの映像だが、その歩き方がロボットのそれではない。安定最優先のロボット特有の歩き方ではなく、人間と同じようにスタスタ歩いているのだ。
エヌビディアのロボティクスなどの開発を進めるGEARラボのジム・ファン氏はこの映像を見て、Xに「これは本当の映像なのか。最近は生成AIの映像と本物の映像が見わけられなくなっている」と詳しい情報を求める投稿をした。翌日、ファン氏は確かな筋から情報の確認ができたとして、あの映像は本物だったと投稿した。
2024年11月には、浙江省杭州市の「Kemuko」(科梦奇机器人)が、ショールームからロボットが集団脱走した防犯カメラ映像を公開して話題になった。深夜に「二白」と呼ばれる小さなロボットが「家に帰りたい」と音声を発しながら移動し、ショールームに並んでいるロボットたちに「一緒に帰ろうよ」と語りかけると、合計12台のロボットが外に出ようと試みたというものだ。
「家に帰りたい」というのは「充電が必要」という意味で、その可愛らしいやり取りが話題となり、瞬く間に3000万回以上再生されたが、多くの人が驚いたのが、ロボットたちが音声言語で会話をし、その会話に基づいて行動できることだった。現在、多くのロボットが大規模言語モデル(LLM)をベースにした音声コミュニケーション機能を備えており、人間と会話をして、命令を理解し、行動に移すことができる。
上海市のロボット開発ベンチャー「AgiBot」(智元機器人)は、上海市にロボットの訓練センター「AgiBot World」を開設した。4000平方メートルの空間に、「家庭」「キッチン」「工場」「スーパー」「オフィス」の5つのシーンが再現され、ロボットに仕事を教えている。人が手にデバイスを持ち、どのように体を動かせばいいのかを手取り足取り教えているのだ。
また、AgiBotではロボットのソフトウェアの大部分をオープンソース化しており、AgiBot Worldで学習したデータもオープン化をする。基礎訓練を終えたロボットを購入し、自社業務に特化したファインチューニング開発ができるようになっている。
つまり、ロボットといってもメカニカルなものではなく、背景にAI技術があり、最近ではEAI(Embodied AI=体を与えられたAI)と呼ばれるようになっている。 【次ページ】テスラやトヨタ、リストに「自動車メーカー」が名を連ねる納得事情
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