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  • 2024/09/12 掲載

生成AIの次の舞台「SDR」とは? テスラ・ベンツ・BMWも「人型ロボット」に夢中な理由

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SDR(Software Defined Robot:ソフトウェア定義ロボット)という言葉をご存じだろうか。6月に開催され、エヌビディアをはじめとするAI関連企業が一同に会した「COMPUTEX TAIPEI」では、AIの次の活用例として多くの専門家が「SDR」を挙げた。テスラが進める人型ロボット「Tesla Bot」はその一例と言えるが、こうした人型ロボットになぜ自動車業界が取り組むのか。SDRが注目される理由に迫る。
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テスラが開発を進める人型ロボット「Tesla Bot(Optimus)」
(Photo:Kittyfly / Shutterstock.com)

SDRとは何か? 生成AI市場の成長にどう関係?

 生成AIの成長に注目が集まるが、現時点でのコンシューマー向け生成AIはあくまでソフトウェア上に存在するもの、つまり実体を伴わないものであることが多い。

 今後の生成AI市場をさらに成長させるために何が必要かという問いに対し、多くの専門家が「SDR(Software Defined Robot:ソフトウェア定義ロボット)」を挙げている。

 SDRとは、ハードウェアではなく、ソフトウェアを中心に作ったロボットのことで、ソフトウェアのアップデートによって、ロボットの性能を向上させたり新しい機能を持たせたりするというのが基本的な考え方だ。

 Software Defined(ソフトウェアで定義された)という考え方は、特にSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義車両)で広く知られるようになった。


 SDRの中でも特に注目が集まっているのがヒューマノイド、つまり二足歩行で人間のように受け答えができ、手先の器用な仕事をこなせる人型のロボットだ。

 古くは、ホンダが二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」を製作していたが、近年ではテスラを代表に自動車メーカーとの関わりが深い企業が取り組んでいる。

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2000年にホンダが発表した人型ロボット「ASIMO」は、2022年に表舞台から引退した
(Photo:cowardlion / Shutterstock.com)

“ただのマシン”からSDRになるための4条件

 自動車業界はもともと製造ロボット導入率が高く、マシン製作という観点からもロボットと相性が良いとも言えるが、従来の「マシン」としてのロボットとSDRの間には大きな開きも存在する。

 オランダ半導体大手のNXPは、6月に台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEIでの基調演説でSDRの定義について以下のように語った。

マシンからSDRへの移行のために必要な条件
  1. アーキテクチャーの移行:ブレインネットワーキング
     リアルタイムで最大限の安全性とセキュリティを確保しつつ、要求される機能に対して最高のパフォーマンスを可能とする強固なアーキテクチャーの構築。

  2. より優れたセンサー
     人間を超える性能のセンサーを装着することで、ロボットはより高度な機能を提供できる。

  3. 信頼の構築
     AI、機械学習と決定論的リアルタイムシステムが調和し、緊密に同期して動作することで、信頼性を内包する。

  4. 拡張能力:ソリューションのための強力なツールボックス
     拡張性、ソフトウェアの再利用、モジュール化などにより違いを生み出す。

 この4点の中で特に重要なのは1と4だろう。ロボットのアーキテクチャーにブレインネットワーキング、つまり人間の脳のようなニューラルネットワークを組み込むことにより、ロボット自身の判断力を生み出す。

 従来の人間の命令で作業を行う一方通行のロボットではなく、入力された命令をロボット自身が理解し、最適解のための最善の方法を模索するようになる。

 また、拡張性、ソフトウェアの再利用などは、1つのロボットが単純作業ではなく複数の作業に対応できる、あるいはソフトウェアのアップデートにより従来の作業とは異なる作業にも対応できるようになることを指す。

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ロボット向けソフトウェア市場はどこまで伸びる? 次ページで詳解
【次ページ】産業用ロボットよりもサービスロボットの成長が加速
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