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- 2024/12/18 掲載
東京エレクトロンデバイス社長が解説、半導体ブームの裏で起きてる“シビアな争い”
Seizo Trendキーパーソンインタビュー
半導体市場は今後どうなる?
当社の事業の柱は、半導体や電子部品を扱う「EC(Electronics Components)事業」、ネットワークやストレージ、セキュリティなどのIT製品・サービスを扱う「CN(Computer Networks)事業」、自ら製品を開発・提供する「PB(Private Brand)事業」の3つに分かれます。このうち、現時点で最も収益貢献度の高い事業が、半導体メーカーから仕入れた半導体・電子部品を企業に販売するEC事業となっています。当然ですが、EC事業は半導体市場の好不調に大きな影響を受けることになります。
そもそも半導体市場は、「技術革新が起こる→半導体の需要増(好況)→生産設備不足→設備投資→供給過多(不況)」といったサイクルを4年ごとの周期で繰り返しながら、好況と不況をいったり来たりする特徴があります(=シリコンサイクル)。
そうした前提がある中で、直近の2~3年はコロナ禍の影響を大きく受けました。コロナ禍では、半導体工場の稼働率が落ち込む中、自宅学習、リモートワークの普及により、通信機器の需要が拡大しました。さらに、従来からのデータ通信量増大などさまざまな要因が影響し、半導体需要がひっ迫したのです。
半導体が手に入りにくい状況であったこの時期、当社は多くの製造業のお客さまから長期の受注をいただきました。それもあり、現在は、お客さまの在庫調整が続いている状況にあります。
また当社は、産業機器と車載関連向けの半導体の取り扱いに強みがあるのですが、産業機器については中国経済の減速の影響を受けています。一方、車載関連については、全体的にEV市場が減速しているものの、HVが伸びているため、半導体需要全体が縮小しているわけではありません。
全体感としては、半導体の需要過多の時期を経て、半導体関連企業は大きく業績を伸ばしましたが、現在は調整期にあるという状況でしょう。2025年度には市場が適正化するものと考えています。
どれだけ恩恵ある?「生成AIブーム」の影響とは
ここ最近は、生成AIブームによって、エヌビディアを中心にAI半導体の開発競争が激化しています。ただし、その買い手のほとんどが巨大IT企業に集中しているというのが実態です。生成AIブームだからと言って、すべての半導体企業に恩恵があるわけではありません。また、生成AIブームはさまざまなところに影響をもたらしています。たとえば、生成AIの開発・利用には膨大な電力を必要とします。この不足する電力問題を解決するために、ユーザーの近くでデータ処理を行う「エッジコンピューティング」の検討が急速に進められています。エッジコンピューティングは、データの送信量を減らし、ネットワークの負荷を抑えることで、通信コストや電力消費の削減に役立ちます。
そうした中、当社は、2024年11月にクアルコム社と販売代理店契約を結びました。クアルコム、インテル、NXPセミコンダクターズの3社のエッジAI向け製品を取り扱う代理店として事業展開ができる体制が整っています。その点で、間接的に生成AIブームの恩恵を受けることができる可能性があります。
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