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- 2025/01/27 掲載
MRAM(磁気抵抗メモリ)とは? DRAM・SSD・HDDと何が違う?「高速省エネ技術」の特徴
MRAM(磁気抵抗メモリ)とは何か
MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁気抵抗メモリ)とは、その名のとおり磁気によって発生する電気抵抗を利用し、抵抗の強さによって変化する電流量で0と1を表現するメモリです。一般的なメモリは大きく分けて揮発性と不揮発性があり、コンピューターなどでは揮発性メモリをRAMやメインメモリと呼び、不揮発性メモリをROMやストレージと呼んで区別します。
この場合、揮発性メモリは電源を切ると記録が失われてしまう代わりに高速処理が可能な短期記憶装置として利用され、不揮発性メモリは処理速度が遅い代わりに電源を切っても記録が失われない長期記憶装置として使われます。
このうちMRAMは不揮発性メモリにあたり、長期記憶装置として使えるメモリです。にも関わらず、揮発性メモリに匹敵する速度での情報処理が可能という大きな強みを持ちます。つまり、SSDなどのストレージのような使い方もできる一方で、DRAMのような高速処理ができる高性能なメモリということです。
このようなメインメモリとストレージの双方に使えるようなメモリを「SCM(ストレージクラスメモリ)」と呼びます。MRAMはこうしたSCMとして使える技術として注目されています。
【比較表】DRAM、SSD、HDDとは何が違う?
これだけ聞くと、将来的にはメインメモリとストレージの区別がなくなり、1つのメモリだけですべてのデータを処理できるようになりそうですが、それほど単純ではありません。現代のコンピューターでメインメモリとして使われているDRAMは、揮発性で0.1秒足らずでデータが失われてしまうため、常に電流を流して書き込みを続ける必要があります。消費電力は膨大ですが、非常に高速で、MRAMに比べると大容量化が容易で、コストも低いため、完全に置き換えることは難しいと考えられています。
また、SSDやHDDのような長期記憶が可能なストレージを置き換えるかというと、これも難しいです。MRAMはストレージとして使うには記憶容量が小さく、コストも高いからです。将来的には集積化が進み容量が増えると予想されていますが、実現にはまだ時間がかかります。
優れたメモリ技術のように思われたMRAMですが、こう考えると色々中途半端にも思えてきます。DRAMと比べて特に高速というわけでもなく、SSDやフラッシュメモリと比べて大容量というわけでもない高価なメモリをどのように使うのでしょうか。
鍵になるのは冒頭で説明した「高速性」と「低消費電力」を両立している点に加えて、寿命(耐久性)の圧倒的な長さです。
不揮発性メモリは総じて消費電力が低めですが、MRAMはその中でも特に消費電力が低く、寿命も長いのが特徴です。さらに、DRAMにはおよばないものの、高速でのデータ読み書きが可能で、容量とコストに課題はあるものの、メインメモリを代替することも可能です。
このため、バッテリー駆動で容量の限られるモバイル機器や大規模かつ長時間の使用が想定されるエッジデバイスなどに用いられています。SSDでは速度が遅く、DRAMでは消費電力が多すぎるようなケースで使われると考えるとMRAMのニーズが理解できるかもしれません。
今なぜMRAMは注目を集める?知っておくべきある技術の登場
MRAMが注目されるようになったのはここ数年の出来事ですが、MRAMというメモリ技術自体は古くからありました。初めて商用のMRAMが登場したのは2006年なので、少なくとも10年以上は大きく普及することのなかった技術というわけです。今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
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