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- 2025/04/14 掲載
なぜ人は「忙しさアピール」をしたがるのか? 衝撃の研究結果で見えた「人間の本性」
「時間を生み出す」技術が発達しても「時間がない」現代人
「時間がない」「忙しい」──。現代人の口癖とも言えるこれらの言葉。しかし、歴史を振り返ってみると、私たちの主張には大きな矛盾が潜んでいることに気づきます。
江戸時代(1603~1867年)、庶民の主要な移動手段は「徒歩」でした。
車やバスなどの現代の公共交通機関はもちろん存在しません。
そんなこともあって街中では、商人や職人、町人たちが日常的に歩きながら仕事をこなしていました。
一般的に、江戸から京(現在の京都)までの移動は徒歩でなんと13日から15日前後かかっていたようです。現代の私たちの生活からは考えられないほどの時間がかかっています。
通勤や通学など、日常生活にとっても欠かすことのできない鉄道が誕生したのは、明治5年(1872年)のこと。
日本で初めて鉄道が開通したのは、新橋駅―横浜駅をつなぐ29km。
その後、東京をはじめ関西や北海道、東海と全国へ鉄道が普及していき、明治末期までにはほぼ全国の幹線網が完成しました。
そこからさらに1964年10月1日に東京─新大阪間で東海道新幹線が開業。東京オリンピック開会の9日前のことでした。時速200km以上の高速走行を可能とした世界初の高速鉄道として賑わいました。
こうした文明の発達は、「移動」に限ったことではありません。
江戸時代では、洗濯はすべて手洗い、炊事は薪を集めることから始まり、掃除はほうきと雑巾だけが頼りで、水汲みだけでも1日の大きな仕事でした。
また、手紙が届くまでに数日から数週間かかり、私の大好きな本は、なんと手書きで写して共有していたというのです!
仕事においても、計算はすべて手作業ですし、夜間の仕事は灯りの制約で限定的でした。
それが今はどうでしょう。
東京―京都間はわずか2時間15分。
洗濯機が24時間働いてくれ、食洗機が食器を洗い、掃除機がゴミを吸い取り、スマートフォン1つで世界中の情報にアクセス可能です。
計算は、電卓で瞬時に終わらせることができ、文章もパソコンがあれば、書き直しも複製も自由自在です。灯りにだって困りません。まさに、かつての人々が夢見た「もっと楽に、効率よく」という願いが、ほぼ完璧な形で実現されているのです!
現代の私たちに本当に「忙しい」と言う、資格はあるのでしょうか。
しかし、冒頭で述べた通り、不思議なことに、これほどまでに「時間を生み出す」技術が発達したにもかかわらず、私たちは昔の人々より「忙しい」と感じているわけです。
なぜ、このような逆説が生まれるのか? その答えを示す、いくつかの衝撃的な研究が世界中で発表されています。 【次ページ】なぜ人は「忙しい自慢」をしたがる? 衝撃の研究結果
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