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  • 2024/01/09 掲載

運送会社が「EVトラック」を買いたがらないワケ、保有率“たった2.7%”の厳しい現実

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多くの日本企業がカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させています。その主要な取り組みは、温室効果ガス総排出量の約9割を占めるCO2の削減ですが、実は部門別で見ると運輸部門が総排出量の約2割を占めています。そのため物流業界では、カーボンニュートラルに向けた取り組みを喫緊の課題としています。そこで注目を集めるのがEVをはじめとした環境配慮車両の導入ですが、その実態は厳しい状況にあります。今回、物流業界におけるカーボンニュートラルの取り組みを紹介しつつ、環境配慮車両導入の実情などについて解説していきます。
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なぜトラック運送で電動車は普及しないのか
(Photo/Shutterstock.com)

物流業界はどのように脱炭素を進めているか?

1ページ目を1分でまとめた動画
 物流業界で検討を進めているカーボンニュートラルの主な取り組みとして、「環境に配慮した物流センターの運営」「モーダルシフト」「環境配慮車両の導入」などがあります。

 まず物流センターの運営です。物流工程においてトラック輸送のイメージが強く定着していることと思いますが、物流センターの運営(入出荷保管)も重要な役割を担っています。ここでも環境への配慮が求められます。

 たとえば物流センター内で使用する段ボールです。一度使用したものはすぐに廃棄されることが多いですが、廃棄する際にもCO2が排出されます。廃棄物を減らすためには、特定の納品先(拠点間輸送など)へ出荷する際に、繰り返し使用できる通い箱(プラスチックタイプのコンテナなど)を利用することで、廃棄物の発生を抑制することが可能になります。

 またパレットに積まれた荷物では、荷崩れを防ぐためにビニールタイプのストレッチフィルムを巻いて固定することが多いですが、こちらも1回の利用ですぐ廃棄してしまいます。廃棄物を減らすため、繰り返し利用可能な再生バンドが活用されたりしています。

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繰り返し利用可能な再生バンドを利用して廃棄物を減らす
(出典:もりや産業

 また輸送面では、長距離輸送において、モーダルシフトが積極的に進められています。これは環境負荷の小さい輸送手段に切り替えることを言い、具体的には鉄道輸送や船舶輸送への代替が該当します。

 モーダルシフトは2024年問題に関係する、ドライバーの残業時間抑制の面においても、大きく貢献します。一方でデメリットも複数で見られますので、メリット・デメリット(図1)の両面を見た上で、うまく活用することが重要です。

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図1:モーダルシフトにもメリット・デメリットがある
(船井総研ロジ作成)

全然導入されない「電動車」、目標「保有10%」も遠すぎる

 ただ、すべてをモーダルシフトにすることは不可能です。なぜなら、日本国内における貨物輸送は、全体の9割以上をトラック輸送が担っているからです。そのため、トラックから排出されるCO2の削減が、カーボンニュートラルの実現に大きく関係してきます。

 そこで物流業界では、環境配慮車両の導入が進められています。具体的には(1)電動トラック(EV)、(2)ハイブリッドトラック(HV)、(3)水素を用いる燃料電池トラック(FCV)などがあります。いずれも、車両の動力に電気を使用しており、これらを「電動車」と呼んでいます。

 全日本トラック協会が策定した「トラック運送業界の環境ビジョン2030」(2022年3月策定)を見ると、車両総重量8トン以下の車両について、2030年までに「電動車」の保有台数を10%とすることを、サブ目標として掲げています(図2)。

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図2:電動車保有率10%を目標に掲げるも微減が続いている
(全日本トラック協会の情報を基に船井総研ロジ作成)

 数値だけ見ると、「10%はハードルが低いのではないか」と思われる方も少なくないでしょう。しかし、現実は電動車の保有率が2022年度時点で2.69%となっており、目標の2030年度までに保有台数を3倍以上増やさなければなりません。何より、達成を目指すどころか、微減傾向が続いています。

 10%という目標値は、実はとても高いハードルなのです。電動車がカーボンニュートラル実現に必要不可欠であるにもかかわらず、なぜこのような状況にあるのでしょうか。

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次のページでは、物流・運送会社で電動車が普及ない理由を探りつつ、電動車の動向などを解説します
【次ページ】運送会社が「電動車」を持たないワケ
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