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- 2022/05/24 掲載
スマホシェア消えたファーウェイ、グーグル・アップル対抗「独自OS」で復活か?勝算は?
輸出規制でスマホシェアランキングから消えたファーウェイ
2021年、ファーウェイのスマートフォン事業はかつてないほど沈滞した。米政府はファーウェイの通信機器の情報安全保障上の問題を提起し、2019年5月には商務省産業安全保障局(BIS)がファーウェイをエンティティリスト(取引制限リスト)に加えた。これにより、特定技術をファーウェイと取引のある企業に輸出、移転する際はBISの許可が必要となった。これは事実上の禁輸で制裁に近い。ファーウェイはGoogle PlayやGoogle マップなどのグーグルアプリ群(Google Mobile Services、以下GMS)が利用できなくなった。
さらに、2020年8月には規制が強化され、携帯電話チップ(SoC=System on Chip)の供給を受けることも難しくなった。ファーウェイは独自開発で「Kirin」(キリン)チップを開発しており、これがファーウェイスマホの高い性能を支えていた。
Kirinはファーウェイ子会社の「海思」(ハイシリコン)が設計を行い、製造は台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が行っていた。そのまま製造を続けると、TSMCは米国製の製造装置やソフトウェアが購入できず、操業ができなくなる。TSMCの最大顧客はアップルで、Appleシリコンを供給しているため、ファーウェイへの供給は放棄するしかなかった。
製造体制も崖っぷち、スマホ出荷台数は激減
アナリストの中には、この米国の規制により、ファーウェイはスマホ事業から撤退するのではないかと予想する人もいた。それも当然で、GMSが使えず、チップも供給されず、むしろどうすればスマホを製造できるのかと考えるのが普通だ。それでも、ファーウェイは在庫のチップを使いスマホの製造を続けた。さらに、ファーウェイが最も力を入れていた5Gをあきらめ、4Gのみ対応のチップを米クアルコムなどから提供を受け、製造を続けた。しかし、海外ではGMSが使えない、国内では5Gに対応していないとの理由からファーウェイの販売数は落ちていった。それ以前に、チップの供給数が限られているため思うように製造ができず、十分な量のスマホを市場に供給できない状況が続いた。
以前は世界市場でサムスンと第1位の座を争っていたが、規制以降シェアは急落し、4%以下に落ちてしまった。中国市場では圧倒的に高いシェアを持っていたが、やはり規制以降シェアが急落した。米国政府の規制は大きな効果をあげた格好だ。
しかし、ファーウェイはあきらめていない。独自開発のOS「鴻蒙」(ホンモン、HarmonyOS)を発表し、巻き返しを図っている。2021年末には、HarmonyOSを搭載したスマートフォンが2.2億台、IoT機器が1億台を突破し、合計3.2億台となった。これはファーウェイが目標としていた「2021年中に3億台突破」を超える結果だ。
【次ページ】再起を図るファーウェイが打ち出した「HarmonyOS」の詳細。その勝算は?
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