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- 2024/12/02 掲載
深刻不況でなぜ? 中国で四半世紀「不振」だったドミノピザが急に「黒字化」したワケ
実は四半世紀も「不振」だったドミノピザ中国
ドミノピザは90カ国2万5000店舗を展開する世界最大のピザチェーンだ。中国にも1997年に進出し、ピザハットとピザ市場を争ったが、長い間、鳴かず飛ばずの状態が続いた。過去の未上場期間の業績は非公開だが、赤字と黒字の間を行き来していたと思われる。2017年に達勢(DPC Dash)が本格運営する体制に変わっても、2023年まで赤字が続いた。
ところが、2023年後半から業績が急速に好転し、赤字幅が縮小し始めた。そして、2024年上半期には0.51億元の利益を出し、体制変更後初めての黒字化を達成した。
赤字続きだったドミノピザはなぜ突然の黒字化を達成できたのか、飲食不況が続く中国では大きな話題になっている。
スタバすら…中国で失敗する外資飲食チェーン「3つの特徴」
ドミノピザの四半世紀にわたる低迷は、中国に進出した外資飲食チェーンの典型的な失敗例そのままだった。失敗チェーンには次のような共通点がある。1)大都市にしか展開をしない
多くの飲食チェーンが、経済力のある大都市での展開を中心にする。外資系飲食チェーンのメニュー価格は、中国人にとって高く、必然的に高価格帯になってしまう。そのため、経済力のある大都市住人でなければ利用してもらえないと考えてしまうのだ。
しかし、大都市は国内外ブランドの激戦区であり、ライバルとの競争がある。ドミノピザの場合、ピザハットという強力なライバルがいた。ピザハットは宅配ピザというスタイルを捨て、早くからピザレストラン業態に転換した。価格が多少高めでも、デートなどで使えるちょっとおしゃれなレストランとして定着した。
2)メニュー構成をローカライズしない
中国に進出する飲食チェーンは、「うちの味が通用するか中国で試したい」と考え、本国のメニューほぼそのまま展開する。それで成功するのは、もの珍しさがある一時期のことで、すぐにリピート客が取れなくなる。オープン当初は話題になるが、1年もすると閑古鳥が鳴いているのが典型的な失敗パターンになっている。
3)中国独自の裁量権がない
多くの外資系飲食チェーンが、本社と中国での営業権契約をし、実際の運営は中国法人が行う。中国の実情に合わせて、メニューや運営方式を変えるためには、本社との交渉が必要になる。本社は「ブランドを守るためにできるだけ変えたくない」、中国法人は「ローカライズするために変えたい」という衝突があり、この裁量権が中国での成功の大きなポイントになる。
KFCが中国で成功を収めたのは、運営をする百勝中国(ヤム・チャイナ)が米国の運営企業ヤム・ブランズから、中国での全面的な営業権を2016年に獲得し、さまざまな面で自由に動けるようになったからだ。 【次ページ】典型的な失敗例だったドミノピザが突如「好転」できた「5つの理由」
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