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- 2025/04/14 掲載
3,300億円の本気「東京ディズニークルーズ」、“失敗し続けた街”が拠点に選ばれた訳
連載:テーマパーク経済学
「陸」から「海」への市場拡大、クルーズ業界への影響は
オリエンタルランドの狙いは明確だ。それは「成長余地の拡張」である。現在、東京ディズニーリゾートは2つのパーク(東京ディズニーランドと東京ディズニーシー)と、それに付帯するいくつかのホテルを持っている。2023度のパーク入園者数は2700万人超となっており、コロナ禍以前の入園者数(3000万人)の数字を取り戻しつつある。さらに2024年度には東京ディズニーシー内に新エリア「ファンタジースプリングス」もオープンさせ、コロナ禍以後、入園者数をある程度絞る中で、これ以上の「陸」での拡大が難しくなっている。
そこで目を付けたのが「海」である。
クルーズ事業は世界的に見ても追い風で、特にコロナ禍以後伸びている。その風に乗って、海の上でディズニー体験をさせようという狙いだ。

米国本国ではすでに1998年にディズニークルーズラインが運航を開始しており、カリブ海を舞台に事業を展開してきた。そこからもわかる通り、クルーズ旅行と「テーマパーク」は相性がいい。パーク外の喧騒や現実世界の要素を遮断し、移動中であってもすべてがディズニー仕様に包まれる──。これはまさに「完全没入型の非日常体験」で、オリエンタルランドが創業以来追い求めてきた“夢の国”の理想形ともいえる。
また、こうした意味でディズニークルーズは、これまでのディズニーリゾートファンにも訴求できる。日本でクルーズ事業を行う事業者からしてみれば、「クルーズ旅行=中高年層のもの」というイメージを覆すことになるのも、1つのポイントだろう。
オリエンタルランドにうまみがあるだけでなく、日本のクルーズ業界全体にとっても大きなインパクトとなるのだ。
一方で注目したいのは、このクルーズ船の発着拠点だ。オリエンタルランドが発着拠点に選んだ場所は、“開発に失敗し続けた街”だった。 【次ページ】発着拠点の“あの場所”……どう変わる?
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