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  • 2025/03/06 掲載

「ふるさと住民登録制度」とは何か?石破政権が準備する“謎制度”の中身

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住民でも旅行者でもない人が、あなたの街の活気を取り戻すキーパーソンになる?──少子化、高齢化、働き手の流出など地域が抱える課題が深刻化する中、最近、「関係人口」という考え方が注目を集めています。定住している人の数を基準にした人口とは異なる視点で、地域に積極的に関わってくれる人を増やそうと、政府は現在「ふるさと住民登録制度」の整備に向けて準備を進めています。「関係人口」や「ふるさと住民登録制度」とは何か、またその議論の動向について解説します。

そもそも「関係人口」とは

 「関係人口」とは、総務省によれば「地域に住んでいないけれど、その地域に関心を持ち、地域と多様に関わる人々」を意味します。

 そもそも「人口」とは、その場所に定住している人の数を意味します。たとえば国勢調査では、調査の時点で3カ月以上にわたって住んでいる人(または住む意思のある人)の数を調べ、その地域ごとの人口(定住人口)としてカウントしています。

 でも実は、単に定住している人の数だけを調べても、その地域が「にぎやか」であるかどうかは分かりません。

 仕事やプライベートの時間は地域の外で活動して、寝泊まりのために帰って来るだけ……という人ばかりの地域があったら、数値上の人口がどれだけ増えても地域が「活性化」しているとは言えないからです。

 寝泊まりのための住居だけがあり、地域間のつながりが薄い人口だけが増えていくと、将来的には仕事や家庭環境の変化によって多くの人がその場所を離れてしまうかもしれません。

 そこで、「定住人口」でもなく、観光などで不定期的に訪れる「交流人口」でもなく、その地域に積極的に関わる「関係人口」に着目し、その数を増やす施策に注力することが、地域活性化のカギとして期待されているのです。

 ただ、関係人口は普通の定住人口と違い、その数を正確にカウントすることは難しく、そもそも明確な線引きをすることすら簡単ではありません。

 その意味で関係人口とは結局、定住人口のように統計的な意味を持つ具体的な数値というより、地域活性化を実現するアプローチを示すためのコンセプトのようなものと言えます。

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関係人口はステップアップの過程とも捉えられる

政府の掲げる「地方創生2.0」

 政府は今、この関係人口に着目した施策を推進しようとしています。

 石破茂首相が本部長を務める「新しい地方経済・生活環境創生本部」が2024年12月に取りまとめた「地方創生2.0の『基本的な考え方』」。

 ここでは、地方からの人口流出や東京圏への一極集中といった現状を乗り越える「地方創生2.0」をスローガンとして提示。国と都道府県、市区町村という縦のつながりではなく、市区町村同士の横のつながりを意識しながら、「1人ひとりが自分の夢を目指し、『楽しい』と思える地方」を実現するとのビジョンを示し、その一環として「二地域居住の推進方策の具体化などによる関係人口の拡大」を打ち出しています。

 政府は、関係人口の創出に向けた新たな枠組みである「ふるさと住民登録制度」に向けた準備も進めています。石破氏は2025年1月の施政方針演説でもこの制度について検討を進めると説明し、「新たな人の流れを太くするため、いわゆる関係人口に着目し、都市と地方といった2地域を拠点とする活動を支援していく。地域に継続的に関わる方々が登録でき、地域づくり活動に参加する担い手となっていただける」と、その狙いを説明しました

 それでは、本題のふるさと住民登録制度とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

【次ページ】ふるさと住民登録制度の中身
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