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- 2025/02/20 掲載
なぜ「地域金融からの預金流出」は“超加速”する? 9つの影響と4つの対策
FINOLABコラム
すでに始まっている地方銀行の預金流出傾向
日銀の政策金利引き上げによって「金利ある世界」に戻った2024年3月末時点において、東洋経済の記事によれば、地方銀行99行のうちすでにに17行で預金が前年と比較して流出超過となっていた。流失率トップとなる長野銀行では前年同期比で預金残高が8.4%減少し、東日本銀行で4.74%、きらやか銀行で3.86%の預金減少が見られる。こうした流出上位行においては、今後の業務運営に深刻な影響を及ぼすことも予想される状況となってきている。
相続によって地方から大都市への資産シフト
三井住友信託銀行の調査(2022年)によれば、日本は年間死亡数が140万人を超える「大相続時代」を迎えている。今後30年間で650兆円弱の金融資産が相続され、そのうち約125兆円(約20%)が地域をまたいで移動すると予測される。中でも、東京圏は最大の資産吸収地で、全国から58兆円が流入し、流出を差し引いても38兆円の資産増加となる見込みである。結果として、家計金融資産の4割超が相続を通じて東京圏に集中することが予想されている。
こうした大規模な資産移動は、「親が地方、子が大都市圏」という世帯構成によって引き起こされている。
戦後の高度成長期(1960~70年代)に多くの地方出身者が東京、大阪、名古屋などの大都市圏へ移住し、その子世代が都市圏に定住し、地方に住む親が亡くなるとその資産が都市圏へ移動するというパターンが定着したために他ならない。
地域別にみた場合、青森県、山形県、新潟県、福井県、奈良県、愛媛県などの流出超過の県においては、資産の4分の1以上が地域外へ流出する見込みとなっている。こうした地域をテリトリーとする地方銀行にとって預金流出を覚悟せざるを得ない状況となる。
これに対して、流入超過が見込まれるのは、東京圏と大阪圏だけであるが、大阪圏の増加はあまり大きくなく、東京圏が相続資産の吸収という点ではいわば「ブラックホール」のような存在となっている。 【次ページ】なぜ地域金融からの預金流出は「超加速」する?
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