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- 2025/02/04 掲載
静岡銀・西日本シティ銀は成功者?地銀の「資産運用ビジネス」から見える勝ち組の条件
連載:「地銀」ビジネス最前線(第1回)
資産運用ビジネスでどう勝つ?各地銀の戦略
「個人の資産運用」への関心が高まる中、資産運用ビジネスのアプローチとして各地銀ともに、「長期・分散投資の推奨」「資産管理型ビジネス」「ゴールベースアプローチ」「ポートフォリオ運用提案」「コンサルティング営業」といった形を打ち出している。また、対面ビジネスの要となるFA(資産運用アドバイザー)人材を活用することで、「顧客本位の業務運営」と「持続可能な収益性」の両立を目指し、中長期的な「資産管理型」ビジネスの確立を目指している。
たとえば、福岡銀行などを擁するふくおかFGでは、投信残高の積み上げにより信託報酬の増加を図る「ストック型ビジネス」へと変化を進めている。同行では投信の専門家が、複数の投信を組み合わせたポートフォリオ運用を提案する「投信のパレット」や「積立投信」などを展開している。
これらサービスによる積み上げもあり、ふくおかFG全体の投信残高は、2020年3月末には4,656億円だったのが、2024年9月末には、1兆2,354億円と3倍近くに増加しており、信託報酬や販売手数料などによる投信収益は、126億円に達する見込みだ(2024年度)。
証券子会社を設立する地銀…どこが成功者?27社比較
また、個別の株式やETF(上場投資信託)は、銀行では取り扱えないこともあり、地銀99行のうち、上位行を中心に約1/3の27の地銀が証券子会社を設立している。(図表1)。このように、地銀各社は証券子会社を設立し、銀証連携によって、株式や投資信託、外国債券、仕組債など金融商品販売による手数料収入の増加を目指してきた。また、証券子会社設立により、顧客基盤や収益基盤が、グループ外に流出することを防ぐ役目も果たしてきたと言える。
そうした取り組みが成果につながっている地銀も出てきている。たとえば、しずおかFG傘下の静銀ティーエム証券では、投信やファンドラップなどストック収益資産の積み上げにより、市場変動に強い資産管理型ビジネス中心の収益基盤を構築しており、経常利益20億円、当期純利益14億円(2023年度)と地銀証券子会社の中でも極めて高い利益水準を維持している。また2027年度には、預り資産残高1兆3,700億円、経常利益50億円、当期純利益35億円を目指している。
一方で、証券子会社の中には、赤字続きだったり、口座数や預り資産が伸び悩むところも散見され、この先、店舗統廃合などリストラや廃業が進む可能性もあろう。
そのほか、地銀が大手証券会社と金融商品仲介業務における包括的業務提携を結ぶ動きもある。
2019年12月、山陰合同銀行は、野村証券と金融商品仲介業務における包括的業務提携「野村アライアンス」を締結。既存の銀行窓販口座や証券子会社の証券口座は、野村證券の仲介口座に移管された。
提携時5,000億円だった預り資産残高は、8,345億円(2024年9月)に達している。山陰合同銀行を皮切りに、阿波銀行や大分銀行、福井銀行、東邦銀行と野村証券や、四国銀行、岩手銀行と大和証券との間でも同様の金融商品仲介の取り組みが進んでいる。 【次ページ】千葉銀・西日本シティ銀が凄い?地銀各社の富裕層獲得の戦略
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