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一般的に、地銀に比べてメガバンクのデジタル化が進んでいる印象があるだろう。しかし、メガバンクを超え先進的にデジタル化に取り組む地銀が存在する。今回は、メンバーズルーツカンパニー社が実施した調査『第一地銀・メガバンクDX推進状況レポート』の結果を踏まえ、メガバンク・地銀のデジタル化の差を解説していく。お聞きしたのは、メンバーズルーツカンパニーの三角恭平氏だ。
SEO評価の低い銀行の特徴
メンバーズルーツカンパニーが作成した「第一地銀・メガバンクDX推進状況レポート」は、地銀のDXがどれくらい進んでいるのか、また、メガバンクのDXを取り入れる余地がどれくらいあるのかを調査する目的で作成されたものだ。
本調査は、以下のように「Webサイト体験」と「顧客接点のデジタル化」という2つの調査項目に分けられている。前編の記事では「Webサイト上での顧客体験」について見てきたが、本記事では「顧客接点のデジタル化」について見ていく。
(1): | Webサイト(PC/SP)体験(Webサイト上の顧客体験) |
| - Webサイト全体が使いやすい設計になっているか
- 金融商品が検索しやすい設計になっているか
- Webサイトの安全性
- Webサイトのページスピード
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(2): | 顧客接点のデジタル化(ATM、店頭窓口など、「リアル店舗で提供される機能」をオンライン上でどれだけ補完できているか) |
| - 商品ページのSEO対策
- ライフプラン、ローン、資産運用のシミュレーション機能
- オンライン相談の充実度
- 専用アプリの機能の充実度
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「顧客接点のデジタル化」という調査項目では、大きく分けて4つのポイントで銀行の取り組みレベルを見ていく。はじめに「基本的なSEOが実施できているかどうか」という点を見ていきたい。デジタルでの集客に焦点を当てた調査の狙いについて、三角氏はこう語った。
「Webサイトにおいては、新規の顧客開拓が重要になります。短期的に広告を打つのではなく、SEOを評価することによって、中長期的な目線での集客への対応を評価できると判断しました。地銀のWebサイトは一度作ってしまえば、企業の資産として残り続けます。太い集客の経路になってくれるため、Webサイトがいかに充実しているかを評価する狙いから、SEOの調査を実施しました」(三角氏)
具体的には「住宅ローン商品ページ」のSEO対策の実施状況が調査対象となっている。調査の方法として、外部の採点ツールを使用して行われている。採点の基準となっているのは、「住宅ローン」というキーワードに対して、適切な設計がされているかという観点だ。見出しや構成など、キーワードに対するページ設計の的確さを総合的に評価している。
SEO評価スコア60点未満が7行、60~64点が12行、65~79点が37行、80点以上が8行という結果が出ている。このスコアの違いは、どこから来るのだろうか。三角氏は「SEOの評価スコアの低い地銀には、店舗で使用していたパンフレットをPDF化して、Webサイトで表示するケースも見られました。顧客が住宅ローンを考える際に必要になる情報を銀行側の目線でしか提示できていない地銀は、総じて低いスコアになっていると言えます」と語る。
顧客目線でのページ設計ができているのかどうかが、評価スコアの差につながっていると言えるだろう。
大きな差が出る「シミュレーション機能」の充実度
下の表は、顧客接点のデジタル化を、シミュレーション機能が用意されているかどうかという観点から調査した結果である。
ローンシミュレーションが可能であるWebサイトを展開している地銀は、62行中61行で、ほとんど差が出ていない。しかし、投資信託シミュレーションが可能なWebサイトは62行中23行、ライフプランシミュレーションが可能なWebサイトは62行中18行と大きな差が出ている。
「DXの時代におけるシミュレーション機能は、実店舗からWebサイトに移行すべき価値ではないかと考えています。これまで実店舗でしかできなかった機能に、コンサルティングがあります。同じような価値をデジタルで代替できるのが、シミュレーション機能です。シミュレーション機能で高評価の地銀の特徴は、自前で開発するのではなく、第三者機関が提供しているすでに世の中にあるシミュレーション機能をうまく活用できていることではないでしょうか」(三角氏)
各地銀において、収益化しやすいローンシミュレーションの導入は進んでいるものの、収益化が見えにくいライフプランシミュレーションの導入には、かなりの差が出ている。しかし、今後はライフプランシミュレーションの重要性が増していくと予測される。顧客接点を増やす観点においても、ライフプランシミュレーションの充実が求められていると言えるだろう。
【次ページ】オンライン相談の充実度、メガバンクが“低評価”の理由
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