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- 2020/12/10 掲載
地銀再編を大予測(西日本編)、統合しても存続厳しい「ヤバい地域」とは?
地銀の統廃合予測―後編(西日本編)
前編・中編はこちら(この記事は後編です)
【関西】台風の目は「りそなHD」
関西は首都圏に次ぐ経済圏であり、3メガバンクが大きな勢力となっているが、大和銀行が母体の1つということもあり、りそなホールディングスも一定のシェアを確保している。大和銀行はもともと大阪を拠点とする野村財閥(野村證券グループを中核とする野村ホールディングスの前身)の銀行としてスタートしたので、大阪との関係が深い。大阪拠点の地銀としては関西みらいフィナンシャルグループ(2018年に関西アーバン銀行、みなと銀行、近畿大阪銀行を統合して発足)があるが、51%の株式を保有していたりそなが、2020年11月に関西みらいに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。今回の完全子会社化によって関西経済圏はりそなとの関係がさらに深まるだろう。
みなと銀行は神戸を拠点とした銀行だが、同じく神戸を地盤とする但馬銀行との合併が取り沙汰されたことがあり、関西進出を狙う島根県の山陰合同銀行との統合が議論されたこともあった。
当時はメガバンク各行が、国際金融規制の見直しによって、自己資本強化を迫られており、資本関係のある地銀を連結から外す動きが活発だった。つまり、親会社の意向による再編だったわけだが、今回は地銀の生き残りという地銀側の理由によるところが大きい。首都圏に次ぐ経済圏である関西において、りそな入りは合理的な選択だろう。
和歌山県は紀陽銀行のシェアが、奈良県は南都銀行のシェアが圧倒的に高い。経済圏を県内に限定すれば両行は安泰とも言えるが、金融庁はそうは見ていない。2018年に有識者会議がまとめた報告書によると、奈良県と和歌山県は今後、人口減少によって1行単独になっても存続できない可能性があると指摘されている。県を超えた再編があるのか注目される。
【中国・四国】注目は各行と「山陰合同銀行」の関係性
中国地方(日本海側)は、前述の山陰合同銀行が、本拠とする島根県はもちろんのこと、隣県の鳥取でも圧倒的なナンバーワンとなっている。先ほどの金融庁の報告書では、鳥取、島根の両県は1行単独でも存続が難しいエリアに指定されている。他行が山陰合同に追いつくのはかなり難しいので、島根と鳥取の経済圏は山陰合同銀行を中心に集約化が進む可能性が高い。ちなみに島根を本拠とする島根銀行は収益が低迷する中、本社ビルを新築し、その償却負担が利益を圧迫している。SBIとの資本提携に活路を見いだそうとしているが効果は未知数だ。
岡山と広島は、それぞれ中国銀行と広島銀行が県内トップを走っている。中国銀行と広島銀行はそれぞれの地域に進出しているが、統合といった話は出ていない。広島銀行は広島市という大都市を抱えているので、人口減少時代においても集約化の拠点となる可能性が高く、有利な立ち位置である。
広島について言えば、県内2位のもみじ銀行が下関の山口銀行と2006年に経営統合し、山口フィナンシャルグループ(山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行)の傘下に入っている。
四国では徳島の徳島大正銀行と香川の香川銀行が2010年に経営統合を実施し、トモニホールディングスを設立した。徳島は阿波銀行のシェアが高く、同行は関西や首都圏にも進出。収益率では全国でもトップクラスとなっている。香川は百十四銀行のシェアが高いことを考えると、トモニは徳島と香川のナンバーツーが経営統合し、規模の拡大を目指したものと考えられる。
四国においてまだ動きが見られないのが、愛媛と高知である。愛媛は伊予銀行が、高知は四国銀行がそれぞれトップで、愛媛銀行と高知銀行が追う展開である。四国全域での統合があるのか、各県での集約が進むのかが注目される。
【次ページ】【九州・沖縄】「宮崎銀行」と「大分銀行」は県内トップだが……
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