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米国カリフォルニア州に拠点を置くシリコンバレー銀行が経営破綻した。直接的な原因が金利上昇による損失拡大だったことから、急ピッチな利上げの弊害を指摘する声も上がっている。日本も今後、金利上昇が確実視されているが、今回の破綻劇について、どう理解すれば良いのだろうか。
金利上昇がもたらした危機なのか?
米国の金融当局は2023年3月10日、米シリコンバレー銀行が経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の傘下に入ったと発表した。同行は総資産約28兆円、全米16位の規模を持つ銀行で、リーマンショック以後としては最大規模の破綻である。
破綻の直接的な原因は保有していた債券の価格が金利上昇によって下落し、損失が膨らんだことである。金利が上がったのはFRB(連邦準備制度理事会)による利上げが原因であり、一部からはFRBの急速な引き締めが金融危機を誘発していると指摘する声が上がった。
日本でも似たような声が聞こえてくる。
米国と比較すれば日本の金利はまだ低い状態だが、日銀の新体制が4月からスタートすることもあって、市場は金利上昇を見込んでいる。日本経済は低金利にどっぷり浸かった状況であり、金利が急騰した場合、国内でも同じようなケースが発生するとの懸念である。
結論から言うと、今回の破綻劇は同行の特殊なビジネスモデルが原因であり、FRBの利上げが行き過ぎということではない。日本では同行に近いビジネスモデルを持つ銀行が存在していないため、同じような事例が発生する可能性は低いと考えられる。
だが、経済・金融の一般論として、金利が上昇すると債券価格が下がり、債券の保有者に損失が発生するのは事実である。米国の金利が上昇し、米国債の価格が下落したことで、国内地銀の一部ではかなりの損失が発生しているとも言われる。
日銀も大量の日本国債を保有しており、金利が上昇した場合、日銀も含み損を抱える。日銀の場合、国債の売却を強いられる要因はなく、時価評価も行わないので、直接、損失を計上する必要はない。だが、含み損が発生すれば、対外的な信用は下がり、円安を誘発するリスクがある。今回の一件は日本においても参考にすべき事例と言って良いだろう。
【次ページ】破綻したシリコンバレー銀行の特殊なビジネスモデルとは?
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