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- 2024/07/12 掲載
日銀が大口決済の前提を変える? ステーブルコインの限界と「CBDC強制導入論」
そもそもホールセール決済とは何か?
そもそもホールセール決済とは何か。日本銀行 決済機構局決済システム課長の須合智広氏はホールセール決済とは「大口決済と銀行間決済の両方を意味する」と説明します。銀行間の決済については、日銀ネットを通じて決済が行われます。その際、大口(1億円未満)は「時点ネット決済」、大口(1億円以上)が「即時グロス決済」と、規模に応じて異なる仕組みを使っています。
国境をまたぐクロスボーダー送金(クロスボーダー決済)では、異なる通貨間の送金が行われるため「コルレス銀行」と呼ばれる中継銀行を介した送金の仕組みが利用されています。
さらに複雑に入り組んでいるのが、国境をまたぐ貿易決済の世界です。国外とのモノとお金の取引の場面においては、信用状や船荷証券という紙ベースの資料を使用する慣行があります。
須合氏は、国境をまたぐ決済取引の現状について「中経銀行を通じたクロスボーダー決済については、コストが高い、スピードが遅い、アクセスが限定的、透明性が不十分という4つの課題がG20において指摘されています。また、貿易決済における紙ベースのやり取りも、事務の煩雑さや非効率性、コストの高さなどが課題として指摘されます」と説明。
その上で、こうした課題への対応策としても位置づけられる「新しいマネーの潮流」として、「ステーブルコイン」と銀行の債務である預金に分散台帳技術を応用してデジタルトークン化する「トークン化預金」を挙げました。 【次ページ】ステーブルコインとトークン化預金
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