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- 2024/04/01 掲載
新NISAで注目、「金融経済教育推進機構」と「認定アドバイザー」の正体
背景に「2,000万円問題」とNISA拡充
金融経済教育推進機構とは、金融、経済の知識を一般消費者向けに普及、教育する組織のこと。同機構は国(金融庁)の働き掛けを受けて日本証券業協会などが発起人となり、2024年4月に認可法人として正式に発足し、同年8月に本格始動を予定しています。とはいえ、そもそも投資は自己責任が基本の世界。他人や行政が口出しをする分野ではないという考え方もあります。なぜ、わざわざ金融庁が主導して新たな推進組織を作り出す必要があったのでしょうか。
背景には、2019年に注目を浴びた「2,000万円問題」と、2024年1月のNISA恒久化があります。
首相の諮問機関である金融審議会の作業部会(市場ワーキンググループ)が作成した報告書の受け取りを政府側が拒否した「2,000万円問題」。幻となったこの報告書では、年金だけでは豊かな老後生活を送り続けるのは困難として、投資による自助努力の重要性を強調する趣旨の内容が注目されました。
騒動後、しばらく金融庁内では、国民に自助努力を求めるような情報発信がタブー視されていましたが、23年に岸田政権がNISA恒久化を打ち出して風向きが一転。NISA制度を通じ、預貯金に偏る家計資産を資産形成に振り向ける「貯蓄から投資へ」の機運が再度高まりました。
とはいえ、金融庁はかつての騒動を忘れたわけではありませんでした。単にNISA拡充のみで国民に投資を促すだけでは、自助重視で大炎上した2,000万円問題と同じ轍を踏むことになりかねません。そこで当局がNISA拡充のいわば「免罪符」のような位置づけで打ち出したのが、金融経済教育の専門機関設立による金融リテラシーの向上策です。
実は国民に自助努力を促すという方向性自体は、2,000万円問題の報告書とそれほど変わりません。ただ、金融経済教育推進機構の設立によって、国民1人ひとりが自らの知識に基づき、あくまで自主的判断によって投資に踏み出すというストーリーが強調される結果になりました。2,000万問題やNISA制度の恒久化なくして、金融経済教育推進機構の設立はなかったといえるでしょう。 【次ページ】国民の投資指南役「認定アドバイザー」の正体とは?
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