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- 2023/10/27 掲載
「新NISAだけ」は大間違い、日本の「資産運用立国」への具体策
運用サイドに突き付けた5つの課題
さまざまな業態がひしめく金融業界は、おおざっぱにみれば、投資信託など金融商品のメーカーにあたる運用サイドと、その商品を一般消費者などに提供する販売サイドとに分けられます。運用サイドのビジネスに関する課題について、今年の金融行政方針は本文8P「資産運用立国に向けた取組の推進」の中で、次のように整理しています。
(2)スチュワードシップ活動の実質化
(3)新規参入の支援拡充等を通じた競争の促進
(4)運用対象の多様化
(5)国際金融センターの実現に向けた情報発信等の強化・環境整備
5つの論点をかみ砕くなら、それぞれ「運用会社は親会社の言いなりにならず投資の技を磨きなさい」「投資先の企業が着実に成長に向かうよう積極的に働きかけなさい」「海外勢を含めたくさんのライバルたちと切磋琢磨しなさい」「スタートアップ投資、サステナブル投資を含め投資の選択肢を増やしなさい」「競争力のある(シンガポールや香港に引けをとらない)金融街を官民で作り上げよう」と言い換えることができるでしょう。
政府の資産運用立国の政策プランとは?
10月3日首相の諮問機関である金融審議会の下部組織として設置された「資産運用に関するタスクフォース」が初会合を開催。このタスクフォースでは、資産運用会社やアセットオーナーのガバナンス改善・体制強化を示した「経済財政運営と改革の基本方針2023」「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を引き合いに出しながら「成長と資産所得の好循環」の実現に向けた政策を検討しています。これらと連携した金融行政方針の課題認識(前章)の下、政府は資産運用立国の政策プランの策定に向けて準備を進めています。事務局を務める金融庁、資産運用会社の業界団体(自主規制機関)である投資信託協会、そして民間有識者としてファンドを運営する独立系の起業家が、制度整備の方向性についてそれぞれ課題認識や政策案をプレゼンしました。
主なトピックは次の通りです。
(1)金融庁が打ち出した方向性(案)
- アクティブ運用の活性化
- 機関投資家によるスタートアップ投資の投資拡大
- NISAのクレジットカード決済の上限額引き上げ
(2)投資信託協会の主な提案
- 排出権を選択肢に含めた投資先カテゴリーの追加
- 重大な約款変更に関する基準の見直し
- 基準価額の算定ミスのペナルティの見直し
- 非上場株式の投信への組み入れ促進
- 運用業務以外の業務の外部委託の促進
(3)民間有識者の提案
- EMP(新興運用者育成プログラムの導入)
- ミドルバック人材の共有プラットフォームの創設
- 「G化プログラム( 日本発の運用会社がグローバルプレイヤー<G>化する道を整える)」構想
【次ページ】「資産運用立国」への具体策、「国民が納得できる投資環境」
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