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- 2025/04/22 掲載
この先の「ドル円・米国株」を大予測、トランプ関税が招いた“トリプル安”の大打撃とは
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
なぜ、トランプ関税は「90日間停止」された?
4月2日(米国時間)に「トランプ関税」が発表され、金融市場は大荒れとなった。当初、他国よりも低めの関税率設定が予想された日本についても、24%という驚愕の数値となり、日経平均株価は4月7日に3万1,136円まで急落。もっとも、トランプ政権は4月9日に(報復措置をとらず交渉に前向きな国を対象に)相互関税の上乗せ部分を90日間停止すると発表した(※中国製品および鉄鋼、アルミ、自動車など発動済みの関税に変更はない)。米国を襲った「トリプル安」がトランプ政権に自制を迫ったとの見方は多く、筆者もそう推測している。トリプル安とは、米国株安、米債券安、ドル安の同時進行のことである。実際、トランプ大統領は、関税発動を延期した理由について、9日の日本時間午後に米長期金利が急騰したことに触れ「人々は少し神経質になって、ちょっと怖がっていた」と語った。
トランプ関税が引き起こした世界経済への不安を受け、金に並ぶ安全資産とも認識されている米国債の不安定化がトランプ大統領に自制を促した形だ。現在、ほぼすべての貿易相手国・地域からの輸入製品に対する10%のみが課されている。
不気味すぎる「各指数の動き」、ドル安はなぜ進んだ?
本来、市場参加者の恐怖心が高まったときに低下するはずの米長期金利は、4月4日までは低下基調にあり一時4%を割り込んだが、7日からは上昇基調に転じて11日には4.5%に迫った(いずれも終値ベース)。そして不気味なことに、この間、ドルは主要通貨に対して下落し、ドルインデックス(DXY)は下げ足を強めていた。ドルインデックスの下落は、ドルの総合的な実力が低下していることを意味する。それまでの「平常モード」であれば、米長期金利の上昇はドルの魅力を高めることから、ドル高と米長期金利上昇が併存するはずであった。しかしながら、市場参加者の想定を遥かに超える関税率が示されたことで、金融市場は「異常モード」となり、ドル安が進行した形だ。
ドル安論者として知られているトランプ大統領といえども、この動きには肝を冷やした可能性が高い(ベッセント財務長官など側近がトランプ大統領に深刻度合いの状況を説明か)。ドルの信認は、米国債の安定と表裏一体の関係にあることから、トリプル安は「米国離れ」が現在進行中であることを意識させる。
ちなみにトランプ大統領が志向しているドル安は、米製造業の国際競争力を高める範囲においてのものであり、基軸通貨としてのドルの地位を脅かすようなドル安とはまったく意味が異なるだろう。覇権国の通貨のみに与えられる基軸通貨としての地位を、自ら放棄するとは到底考えられない。
「自動車部品」関税例外措置、日本への影響はどれくらい…
金融市場の混乱が続く中、トランプ政権の関税政策を巡る軌道修正は自動車にも及び始めた。4月14日にトランプ大統領は自動車部品について関税の例外措置に言及。現在のところ5月3日に発動予定の自動車部品の関税について「米国で製造するとなると、少し時間が必要だ」として、何らかの猶予が与えられる可能性を示唆した。
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