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  • 2015/11/06 掲載

DNP 小林修一役員に聞く、包装事業がインドネシアでシェアNo.1になれた理由

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印刷業界2強の1角、大日本印刷(以下、DNP)。1964年に香港に駐在員事務所を開設して以来、グローバル展開にも乗り出した同社は、包装事業において、特にバリア性など付加価値の高いフィルムパッケージ分野では、インドネシアでシェアNo.1となるなど、東南アジアを代表するパッケージメーカーとなっている。元DNPインドネシア社長、現在は包装事業部 役員 事業部長をつとめる小林修一氏にグローバルで勝つ競争戦略とIT活用について話を聞いた。
(聞き手は編集部 松尾慎司)

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大日本印刷 包装事業部 役員 事業部長 小林 修一 氏
(写真:伊藤 孝一)

50年以上にわたるグローバルへの挑戦

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──包装事業部では、実に50年以上も前からグローバル展開を進められてきました。その取り組みについて、教えていただけますか。

小林氏:DNPとしてのグローパル展開は1964年の香港進出が第一歩で、その際には国内と同じく出版印刷事業から始まりました。その後、ニューヨーク、シドニー、ドイツ、インドネシアに駐在員事務所を開設し、1970年には販社であるDNPヨーロッパを、1972年には現地国営の印刷会社との合弁でパッケージ製品の製造/販売会社であるDNPインドネシアを設立しました。

──インドネシアは当時、まだ経済的にも未熟な状況だったと思います。その時に製造から販売までを行う現地法人を設立された背景には、どのような目的があったのでしょうか。

小林氏:インドネシアは第二次世界大戦後に独立しましたが、1972年当時、現地国営の印刷会社から“これからインドネシアが経済成長を目指していくに当たり、包装の文化やパッケージ製品を広げていくための支援をして欲しい”との要望があったのです。そこで現地でのマーケティング調査を行い、我々の進出要望が高いということでスタートしました。

 当時、現地の石鹸やマーガリンの包装紙は、紙やセロファンなどの素材に一部耐油加工を施した簡易なものばかりで、現地にはフィルムが何層にも積層されたバリア性のある高品質なパッケージ製品を広めていきたいという思いがありました。

なぜインドネシアでトップシェアを獲得できたのか

画像
DNPインドネシアのカラワン工場
──インドネシアでトップシェアを獲得するまでに至りましたが、ここまで成長を遂げてくることができた理由は何でしょうか。

小林氏:インドネシアでの事業活動は、現地国営企業との合弁という形でスタートしましたが、やはり国営企業との合弁では、我々の考える事業展開と意見が合わないところも多々ありました。このままでは成長が難しいということで、約15年後に合弁を解消しました。

 そこで撤退するという判断もありえたわけですが、1987年に新たに民間のコングロマリット(複合企業)を現地パートナーに迎えて再出発しました。この企業はいわゆる卸売業者で、我々と同じくインドネシアに進出していた旭硝子や花王などとも取引関係がありました。DNPにとっては、その先の顧客獲得にも繋がる非常によいパートナーとなりました。

 また実際にインドネシアで包装事業が急速に伸びてきたのは2000年代に入ってからで、ここ15年ぐらいです。それまでの30年近くは地道に取り組んできました。OECD(経済協力開発機構)の非加盟国全般に言えることですが、国民一人当たりのGDPが2000ドルを超えると、一般消費財の需要が急激に伸び出すという傾向があります。インドネシアがその転機を迎えたのがちょうど2000年代の半ばです。2015年の加工食品市場をみると、インドネシアで10.8%、ベトナムで13.0%の伸びを示しており、包装材を提供する我々の成長もこの動向に連動していることは間違いありません。

ASEAN主要6カ国加工食品11カテゴリーの市場規模推移 (円換算値)
2015年見込2014年比2016年予測2014年比
インドネシア1兆6,159億円110.8%1兆7,872億円122.6%
シンガポール2,179億円103.1%2,251億円106.5%
タイ1兆5,063億円107.1%1兆6,106億円114.5%
フィリピン1兆4,471億円104.0%1兆5,048億円108.1%
ベトナム7,094億円113.0%8,036億円128.0%
マレーシア3,170億円104.8%3,328億円110.1%
6ヵ国合計5兆8,136億円107.7%6兆2,641億円116.0%
(出典:富士経済)

【次ページ】海外支社も月次管理、ただし現地特有の課題も
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