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  • 2014/03/26 掲載

パナソニックのグローバルWeb戦略、いかにして各国サイトを統合・刷新したのか

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これまでパナソニックでは、コンシューマ向け商品を展開する世界各国で別々の商品情報提供サイトを構築していた。しかし現在の消費チャネルにおけるWebの占める比率は年々高まってきており、世界共通で良質のコンテンツを発信していくことが業績の拡大に大きな影響を及ぼすようになっている。そこで同社が取り組んだのが、各国の現行サイトをグローバルで統一されたイメージの商品情報提供サイトへと刷新することだ。

Webをグローバルで統一、マーケティングは各国の特徴活かす

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 アカマイ・テクノロジーズ主催のAkamai Enterprise Conference 2014にて登壇したパナソニック AVC ネットワークス社 デジタルマーケティングイノベーショングループ グループマネージャーの山本雅通氏は、今回の商品情報提供サイトの刷新を“グローバルWeb集中プロジェクト”だと紹介し、これまで各国でバラバラの商品サイトを運営していた時の問題点を次のように説明した。

「当時は世界9つの地域で展開していたが、日本のマーケティング部門はその各々に対してメンテナンス指示を出す必要があり、また利用しているCMS(コンテンツマネジメントシステム)なども国ごとにバラバラだった。サイトの修正や変更には多大な手間と時間がかかり、場合によっては掲載する写真が間違っている国もあった。これでは商品発売日に正確な情報を届けることができないし、製品の訴求自体もままならない」

 そこで同氏は、先進的なグローバル企業のWebサイトを色々調べてみたという。

「すると特徴的なことが分かってきた。1つめが、全世界共通のテンプレートを使用していること。2つめが、グローバルでガバナンスが効いていること。つまり地域任せにしていない。そして3つめ、コンテンツの制作フローが非常に効率化されていることも調査で分かった。万一製品に不具合が見つかった場合、すぐにお知らせページにメッセージが表示できるようにもなっていた」

 一方で山本氏はこうした仕組みを構築する時の課題として、1つの様式に統一してしまうと、各国のマーケティング活動を通じて得られたさまざまな情報を吸い上げることが難しくなってしまう欠点を挙げる。

「グローバルに統一することは是非やらなければならないが、その時、各国でいかにローカル色を出せるかが非常に重要なポイントとなる」

 そこで同社は、9つの国でマーケティング活動は各々に行うこと、一方Web戦略はグローバルで1つにまとめ、実際のWebサイトは効率化とセキュリティを考慮した上で構築していくことを目指した。

グローバル展開を推進していくための体制作りも重要

 このプロジェクトは同社にとって前例のない、非常にハードルの高い取り組みで、山本氏は「日本人による日本のための取り組みではダメで、9か国にガバナンスを効かせるためにどう展開していくかが非常に苦労したところ」だと強調する。

 その中で、コンテンツをどのように配信すれば合理的か、ユーザーインタフェースはどうすればいいか、あるいはITはどうあるべきかなどについて、業務部門やカスタマーサポート部門とも議論しながら、考えたという。

 さらにグローバル展開を推進していくための仕掛けとして、海外のコアメンバー、具体的には米国とドイツのメンバーをプロジェクトの専任にし、9か国の従業員とは年3回のサミットを日本で開催して、情報共有する場を設けた。

 こうして完成したグローバル仕様の商品情報提供サイトは、すべてwww.panasonic.com/**/で記述されるURLとなった。**の箇所には国を表わすアルファベット2文字が入り、米国ならus、シンガポールならsgといった具合だ。また顧客視点に基づくサイト構造を重視して、スマートフォンやタブレット端末からも閲覧できるようにし、グローバルで統一するスペースと地域でのマーケティングをしっかり反映させるスペースの融合も図った。

「パナソニックには他にもBtoBなどさまざまな製品分野があるが、まずは先行事例としてコンシューマ部門からグローバルWeb集中プロジェクトに取り組みもうと考えた。コンテンツは日本主導で作成し、各国での実装に当たっては標準となるテンプレートを利用することにした」

 実際のグローバルWebは約1年間の取り組みを経て、まず2013年3月26日に米国で立ち上がり、2014年3月時点で最後の中国の取り掛かっているところだ。これが終了すれば、すべての国のサイトがこの仕組み上に載ることになる。

「今回の取り組みはコンシューマ商品についてのものだが、今後はブランドコミュニケーションやBtoB商品も含めて、このインフラ上に載せ替えていこうと考えている」

【次ページ】21秒を1秒以下に、コンテンツをストレスなく届ける
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