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- 2025/01/22 掲載
日本と「全然違う」東南アジア…覚えておきたい「クレカよりQR決済」が常識なワケ
日本でキャッシュレス普及を進めた「4つ」の要因
世界的に普及が進んでいるキャッシュレス。世界の主要各国では支払いに占めるキャッシュレス比率が40-60%台とされており、日本でも、経済産業省がキャッシュレス決済比率を2025年までに40%に引き上げることを掲げています。一般社団法人キャッシュレス推進協議会の公表によると、日本における2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%に達し、目標到達が現実的になってきました。
このキャッシュレス決済が日本で本格的に普及し始めたのは、2010年代とされています。その背景には以下のような主要な動きがありました。
- キャッシュレス推進政策
- QRコード決済の登場
- 消費税増税に伴うポイント還元事業
- 新型コロナウイルスの影響
まず「キャッシュレス推進政策」については、前述した経済産業省によるキャッシュレス決済比率の目標設定などが当たります。経済産業省では、2017年-2018年にかけて検討会を設置してキャッシュレス社会の在り方について議論を行い、2018年に「キャッシュレス・ビジョン」と呼ばれる方策案も策定しています。
そして、「QRコード決済の登場」については2018年頃から、中国のQRコード決済の成功例「Alipay」、「WeChat Pay」をモデルにした同様のサービスが次々と登場した経緯があります。現在ではすでにお馴染みとなっている「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」といった各種決済サービスが急速に普及して、スマートフォンを活用した「モバイル決済」が広がり、多くの店舗や消費者が活用するようになりました。
一方、「消費税増税に伴うポイント還元事業」もキャッシュレス決済不要の要因となっていると考えられます。2019年10月の消費税増税に伴い、政府はキャッシュレス決済を利用した消費者にポイント還元を行う施策を実施しています。この施策が利用者増加の大きなきっかけとなり、キャッシュレス化がさらに加速したと言えるでしょう。
そして最後の「新型コロナウイルスの影響」に関しては、感染拡大により、現金よりも非接触型の決済手段を好む人が増えたとことが、デジタル決済の普及を後押ししました。第一生命経済研究所の公表によると、コロナ禍前に29.7%だった決済比率は、コロナ禍をきっかけに32.5%に上昇しています。
このようなさまざまな背景により、日本のデジタル決済の普及は進み、特に若い世代や都市部を中心にキャッシュレス化が浸透し、店舗やECでの利便性向上に大きく貢献しつつあります。
日本のクレカ比率は圧巻の「85%」
こうした中で、日本においてキャッシュレス決済の手段としてメジャーなのは、依然としてクレジットカードです。経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済における支払い方法の約83.5%をクレジットカードが占めています。現金支払いでは難しい、ポイントや分割払いといったメリットや柔軟性が支持されています。一方最近では、前述したQRコード決済サービスや後払いサービスといったモバイル決済方法も徐々に存在感を高めています。Paidyをはじめとする、消費者が購入時に即座に支払いを行う必要がなく、分割払いまたは後日支払いを選べる新しい決済方法であるBNPL(Buy Now, Pay Later)サービスも登場し、特にAmazonやQoo10といったECモールにおいて、若年層を中心に利用者が増加しています。 【次ページ】東南アジアでモバイル決済が普及した「ある事情」
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