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- 2024/09/11 掲載
失速アマゾンが「やばくなった」本当の理由、中国の業者を必死で口説いている背景
なぜ?「ECの巨人」アマゾンの失速
アマゾンの成長が止まっている。アマゾンのオンライン小売売上高の推移を見ると、コロナ禍前は毎年20%台の成長をし、コロナ禍では37.65%もの成長を示したが、2021年から失速。2023年は11.83%にまで落ち込んでいる。その原因はさまざま考えられる。1つはコロナ禍による急成長の反動、1つは成長サイクルが必然的に成熟をしたことだ。
そして、もう1つの理由が中国越境ECによる侵食だ。
2021年には、ファストファッション越境EC「SHEIN」(シーイン)が米国で人気となり、2022年9月には「Temu」(テム)が、2023年9月には「TikTok Shop」が米国でのサービスを始めた。また、以前から中国越境ECとして知られていたアリババの「AliExpress」(アリエクスプレス)も、Temuなどに刺激を受けて利用者が増えている。
このような中国越境ECの2023年の流通総額(GMV)は、4社合計で997億ドルであり、アマゾンのオンライン小売売上高5,748億ドルと比べると1/6程度でしかない。
アマゾンは、出品業社から手数料を得るマーケットプレイスも並行して運営しているため、実際のGMVは売上高の数倍になる。アマゾンはやはりECの巨人であり、中国越境ECが束になってかかっても、アリと象の戦いであるかのように見える。
アマゾンが恐れる「2つの事実」
しかし、アマゾンはそのアリをうるさく感じ始めているようだ。アマゾンの懸念は2つある。1つは、北米よりも北米以外での業績悪化が著しいことだ。アマゾンは現在21カ国にサービスを提供しているが、Temuはすでに55カ国にサービスを提供している。SHEIN、AliExpressも欧米、中東、東南アジアを中心に同程度の規模での展開をしている。
アマゾンが海外でサービスを提供するには現地化をしなければならない。現地法人を設立し、現地に倉庫を置き、物流を確保しなければならない。
一方、中国越境ECは、中国の出品業者の商品を国際宅配便で配達するという仕組みであるため、極端なことを言えば、現地国用のWebサイトを開設し、購入アプリの言語対応をすればサービス展開ができてしまうのだ。
アマゾンの成長率は2021年から大きく下がったが、海外市場ではマイナス成長にすらなっている。この時期は、北米、海外ともに営業利益が赤字にもなっている。2022年11月には、アマゾン始まって以来の1万人規模のリストラをすることになった。 【次ページ】EC、AWSに続け、期待の「第3の柱」に起きた予想外
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