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世界的に見て、経済的成長が著しい東南アジア。同地域で現在、右肩上がりで成長を続けているのがEC(電子商取引)市場だ。同地域では、日本とは異なりライブコマースやAI利用が活発で、TikTokをはじめとした日本でもお馴染みのプラットフォーマーが大きな役割を果たしているなどの特徴がある。東南アジアのEC市場について、具体的な状況や日本との違いを解説する。
日本より「20歳年下」の東南アジア
東南アジアのEC事情を見ていくにあたり、まず押さえておきたいのが、同地域の人口分布における特徴です。
東南アジア地域の人口は、現在6億5000万人を超え、その大部分が若年層で構成されています。この地域の若年層は消費活動を積極的に行うだけでなく、新しいテクノロジーやサービスに対する適応力が高く、デジタルプラットフォームの利用にも非常に積極的とされています。
特に、インドネシア、フィリピン、ベトナムでは、平均年齢が30歳前後と、世界的に見ても非常に若い人口構成を有しており、これが市場成長の一因となっています。
たとえば
インドネシアは、東南アジア最大の経済大国であり、その人口の約40%が30歳以下です。同様に、フィリピンでは人口の過半数が24歳以下であり、これらの国々では若い世代が経済活動を活発化させています。さらに、ベトナムも平均年齢が30歳前後であり、急速な経済成長と中産階級の拡大により、消費市場の重要なハブとして注目を集めています。
これらの国の人口的な若さについては、国立社会保障・人口問題研究所の「
人口統計資料集2024年版」に記載されている、日本の平均年齢が48.2歳(2022年時点)であることと比較すると、いかに若いかがよくわかるのではないでしょうか。
そんな
東南アジア各国では、インターネットの普及が急速に進み、特にスマートフォンを利用するユーザーが急増しています。
2023年時点で、東南アジアのインターネットユーザーの約90%以上がスマートフォンを主要なインターネット接続手段として使用しており、この割合はさらに増加すると予測されています。こうした中で、スマホを使って情報収集から購入までを行う、いわゆるスマホネイティブ世代の新しい消費行動が、同地域の市場に影響を与えているのです。
TikTok人気が「世界一」は東南アジアのあの国
人口面での若さもあり、東南アジアは世界でも特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用率が高い地域としても注目されています。この中でも、日本でもお馴染みのショート動画アプリ「TikTok」の人気が急上昇しており、若年層の間でその利用率が目立ちます。
TikTokの利用者数ランキング(2024年4月時点)
上の図は、Statistaが
公表している今年4月時点のTikTokの月間ユニークユーザー数ランキングです。
世界1位はインドネシアで、ベトナム、タイ、フィリピンもベスト10にランクインしており、東南アジアでのTikTokの人気や利用者数の多さが伺えます。
東南アジアでは、インターネットユーザーの40~50%以上がTikTokを使用しているとも言われており、TikTokはエンターテインメント目的にとどまらず、商品レビューやライフスタイル情報の共有など、さまざまな目的で使用されています。こうした事情から、東南アジア市場におけるデジタルマーケティングやプロモーション活動においては、TikTokは非常に重要なプラットフォームであると言えるでしょう。
【次ページ】EC市場におけるTikTokの「人気機能」とは
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