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EC市場におけるTikTokの「人気機能」とは
そんなTikTokは、ユーザーが動画やライブ配信を見ながら商品を閲覧・購入できるソーシャルコマースの機能「TikTok Shop」を東南アジアで展開しており、タイ、ベトナム、インドネシアで特に人気があります。
日本では、TikTokをはじめとして、どのSNSもユーザーがプラットフォーム上で直接商品を購入・決済まで完結できる機能を導入していませんが、東南アジアでは、TikTok Shopのようなソーシャルコマースが急速に普及しています。同地域のソーシャルコマース市場の規模としては、2023年に約100億米ドル規模に達し、2025年には2倍の200億米ドルに成長すると予測されています。
加えて、東南アジアのEC市場で現在大きなトレンドとなっているのが、ライブ配信を通じて商品を紹介する「
ライブコマース」です。ライブコマースは、インターネット上でのライブ配信を通じて商品を紹介し、視聴者がリアルタイムで購入できる新しいECチャネルで、世界的には中国で人気を博しています。
ライブコマースを行う配信者は「ライバー」と呼ばれ、商品の使い方や特長をリアルタイムで説明します。一方の視聴者はその場でコメントや質問を送ることができるため、双方向のコミュニケーションが可能です。このコミュニケーション要素により、従来のECサイトでの購入よりも購買意欲を高める効果があると言われています。
ライブコマースはもはや「人要らず」
このライバー、東南アジアでは、単なるインフルエンサーや配信者ではなくプロフェッショナルな職業として認識されており、商品知識の深さ、魅力的なプレゼンテーションスキル、視聴者との親密な関係性構築が求められます。そのため一般的なインフルエンサーとは異なり、専門的な役割を果たす仕事として、人気のあるライバーは高額な報酬を得ることもあります。
こうした背景から、企業にとって課題となっているのが、限られた予算内で最適なライバーをキャスティングすることです。
その解決策として現在注目されているのが、人間のライバーの代わりに、AIでモデリング・生成したアバター「AIライバー」を活用するライブコマース手法です。
AIライバーは人と異なり24時間の稼働が可能で、ライブコマースの効果最大化が狙えます。特に、視聴インプレッションが最も高いとされている時間帯(PM6:00~AM4:00といった夜間)においても、コストを抑えつつ効果的に運用できるため、人件費や運営コストの削減も可能とされています。
さらに、台本の内容を変更したい場合、人のライバーの場合は、内容を覚え直したり、動画の場合は撮り直しが必要となりますが、AIライバーを活用したライブコマースは、スクリプトを変更するだけで済むため、非常にフレキシブルな点もメリットです。
エビアンの「AI活用」はコスト9割減?
そんなAIライバーを活用している事例の1つが、ミネラルウォーターブランドのエビアンです。
食品や医薬品などの輸入事業を手掛け、タイでのエビアンの販売も行っている企業Sino-Pacific Trading(Thailand)は、今年の8月より、AIライバーを活用してタイのShopee liveで、エビアンの飲料や化粧品を販売するライブコマースを実施しています。Shopee Liveとは、東南アジアで人気のオンラインマーケットプレイス「
Shopee」が提供するライブストリーミング機能です。
このエビアンの例では、人間のライバーで行っていたライブ配信で1回あたり数十米ドルかかっていたコストが、AIライバーを活用したライブ配信の費用は2米ドルほどで、配信コストを8~9割程度抑えることができています。
このように東南アジアのEC市場では、日本と異なりソーシャルコマースやライブコマースが活発です。同地域に進出する際は、これらのECチャンネルをうまく活用することが成功に繋がると言えるでしょう。
〔参考文献〕
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