- 2025/04/05 掲載
あまりに愚かなトランプ関税「損をするのは米国民」のワケ、日本は対抗関税すべきか
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
トランプ関税、日本は24%、中国34%、EU20%
2025年4月3日、世界経済に再び大きな衝撃が走った。米国のトランプ大統領が、以前から口にしていた「相互関税」の内容の詳細を発表し、大統領令にサインした。米国東部時間4月2日に行われたホワイトハウスでの演説は、第2次トランプ政権が進める自国産業優先の貿易政策が、新たな段階に入ったことを世界に示した。発表された関税の仕組みは2段階になっている。まず第1段階として、米国へ輸出するすべての国に対し、一律10%の基本的な関税がかけられる。開始は米国東部時間の4月5日午前0時1分である。
次に第2段階として、米国から見て貿易で多くの黒字を得ている国や、米国製品の輸入を妨げる壁が高いと見なされた約60の国や地域に対し、追加の関税率が定められた。特定の国々への追加関税は米国東部時間4月9日午前0時1分から適用される。
ホワイトハウスが示したリストによると、日本には合計で24%の関税率が適用されることになった。中国は34%、ヨーロッパ連合(EU)は20%、ベトナムは46%、韓国は25%、インドは26%というように、国ごとに違う税率が決められた。
トランプ大統領は2025年4月2日の演説で「今回の措置は米国が経済的な自立を取り戻すための歴史的な一歩だ」「長い間、他の国が米国を踏み台にして豊かになってきた状況を終わらせ、今度こそ米国が豊かになる番だ」と述べた。
自動車業界が標的に「日本で米国車が売れてない」
トランプ政権は、今回の関税措置を行う法律上の根拠として、国際緊急経済権限法(IEEPA)を挙げている。米国が抱える莫大な貿易赤字や国内産業の衰退が、国の安全を脅かす「緊急事態」だという判断である。政権側の主張では、日本は為替の操作や目に見えない輸入障壁を含めると、実質的に46%にも相当する壁を米国製品に対して設けているという。
2025年4月2日の演説でトランプ大統領は、今回日本に課す24%の関税率は、その「半分」程度にあたる「思いやりのある相互」関税だと説明した。
なお、税率をどう計算したかの詳しい説明はないままだ。
日本に対しては特に自動車分野への不満が2025年4月2日の演説で繰り返し述べられた。「日本では走っている車の94%が日本製だ」「トヨタは米国で100万台の外国製の車を売っているのに、米国の自動車会社は日本ではほとんど売れていない」といった具体的な数字を挙げて非難した。
同時に、4月3日から始める予定の、輸入される自動車に対する別の25%追加関税も2025年4月2日に正式に発表された。
ただし、今回発表された相互関税の対象からは、すでに別の関税がかかっている自動車やその部品、鉄鋼、アルミニウムなどは外されることが明らかにされた。
株価は大暴落、円は買われ、金利は低下
こうしたトランプ政権のやり方には、世界中の国々からは、強い反発と心配の声が上がっている。世界貿易機関(WTO)のルールに反する可能性も高く、自分勝手な自国優先主義は世界経済を不安定にすると多くの国が訴えている。金融市場はすぐに反応し、日本と米国の株価は大きく下落、安全なお金の避難先とされる円や米国国債が買われ、長期的な金利は下がった。
加藤勝信財務相は2025年4月2日の国会答弁で、米国の措置がWTOの取り決めと合わないのではないかとの考えを示した。第1次トランプ政権の時に鉄鋼・アルミに関税がかけられた際、日本が報復関税を行う権利をWTOに伝えて保留した過去に触れ、今回もWTOのルールに基づいた対抗措置をとることも選択肢として考えていることを匂わせた。
経済界からは、深刻な影響を心配する声が多く出ている。特に自動車産業は、すでに始まる25%の自動車関税に加え、部品にも影響が出る可能性があり、部品供給から販売までの流れ全体への打撃が心配されている。 【次ページ】トランプ関税は米国の国益にかなっていない断言できる理由
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