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  • 2020/02/13 掲載

【231社に調査】DXが進まない理由、7割は「構想」「体制」に課題

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一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会(以下、日本BPM協会)は、2019年8月から9月にかけて「業務改革実態調査」を実施した。今回の調査の目的は、国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)と業務プロセス改革の実態を明らかにすることだ。同協会で理事を務める横川 省三氏は「第14回 BPMフォーラム 2019」で実態調査の結果を報告し、DXに対応する企業の動きと働き方改革への取り組み、業務改革やBPMへの取り組みを成功に導くための条件について解説した。
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一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会理事の横川省三氏

DXの推進は自社だけでは困難

 今回の調査対象は、東証1部・2部およびJASDAQなど新興市場の上場企業を中心とする2329社で、経営企画・人事・働き方改革・業務改革・情報システム部門などの部門長クラス。回答は記名式で、調査票は郵送で配布・回収し、有効回答数は231社。有効回答率は9.9%だった。

 回答者の業種内訳は製造業がトップで40.7%、従業員規模では1000人以上の企業が62.3%を占めた。また回答者の所属部門は、情報システム部門が40.7%で約半数を占め、次いで経営企画部門16.7%、業務改革部門10.7%と続いた。なお、「DX部門」という回答も、業務改革部門に次いで6.4%あった。

 次にDXへの取り組み状況については、「特定の組織のみ、取り組みや具体的な検討を進めている」と答えた企業がトップで48.7%。次いで「経営会議など、上層部での重要な経営課題だと認識している」と回答した企業が29.4%に上った。しかし3位には、「話題にはのぼっているが、具体的な取り組みや検討は行っていない」という回答(20.6%)が続き、5位には、「必要性は感じるが、今のところ話題にのぼることはない」という回答(12.7%)が入った。

 この結果について横川氏は、「具体的な取り組みになっていない企業はまだまだ多い。やっと議論が始まったばかりというのが実情のようだ」と指摘した。

 DXが経営にどのような影響を及ぼすかについて聞いた問いでは、「製品・サービスのライフサイクルが短期化するという認識を持っている」がトップで29.5%。しかし2位には「自社の事業に与える影響が想定できない」という回答が26.9%で続いた。横川氏は「多くの日本企業が“DXはよくわからない”という不安感を抱えている表れだ」としている。

 DXの推進に必要な体制は、「トップが主導で関与する」と答えた企業が55.0%、「デジタル専門の部署を設置する」と答えた企業が39.0%だった。一方、「社外と共同して推進する」と答えた企業が35.9%、「外部の専門機関との連携する」と答えた企業も19.5%あった。

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DX推進に必要な体制
(出典:2019 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会)

RPAのメリットはプレッシャーからの解放

 次にDXの成果としての期待について聞いたところ、「業務プロセスを変革し、生産性を向上する」という回答が圧倒的なトップで82.7%。2位には、「自社のビジネスモデルを変革する(48.9%)」。そして3位に、「既存の製品・サービスの差別化/高付加価値化を実現する(47.6%)」が入った。

「残念ながらデジタル技術は、まだ生産性の向上という観点での活用に留まっていると感じる。新しい製品やサービスを創出するという回答も半数近く(45.5%:4位)見られたが、“顧客の視座から価値をどう作っていくか”という観点でDXを捉えている企業は、まだまだ少ないというのが見える」(横川氏)

 デジタル技術の導入状況については、RPAが「すでに済み(60.2%)」でトップとなった。導入検討中の上位テクノロジーには、「AIによる数値分析(46.3%)」「ビッグデータ(42.9%)」「AIによる画像認識(42.9%)」「IoT(44.6%)」「AIによる音声認識(36.4%)」「BPMS(35.9%)」だった。

 AIに対する期待でも最も多かったのは、「経験と勘に頼っていた判断や予測の精度が高まる(67.9%)」だ。一方、RPAに対する期待は「業務処理時間の短縮(91.3%)」がトップで、「作業ミスがなくなり業務品質が向上すること(72.3%)」と続いた。

 この結果について横川氏は、「特にRPAへの期待成果は、生産性の向上や効率化よりも、オペレーショナルリスクに潜むヒューマンエラーの削減というメリットへの関心が高いことがわかる。RPAは従業員の精神的な圧力を軽減するもので、ミス撲滅の観点からRPAは非常によい解決策となるものだ。また顧客満足度を高める、顧客サービスを向上するためにRPAを活用するという考え方も、これからは有効だと考えている」と総括した。

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AIとRPAの期待成果
(出典:2019 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会)

【次ページ】業務改革の効果は限定的
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