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  • 2024/09/13 掲載

ホンダ・日産も抜いた「BYD」が…もうすぐ息切れの理由、現地視察で見えた“現実”

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2024年4~6月の世界新車販売において中国BYDが約98万台(前年比プラス40%)を達成し、約92万台のホンダ、約79万台の日産を抜き、世界7位になったと日本経済新聞が発表しました。BYDはホンダや日産、スズキといった日系ブランドを抜いただけでなく、「米ビッグ3の一角でもあるフォード(約114万台)の背中も捉えており、さらに業界の序列を崩す可能性が高い」とも言います。BYDの勢いは本物なのでしょうか。BYDの今後の成長を占うポイントを解説します。

かなり強い? リアルな「BYD」のポジション

 4~6月(3カ月間)の成績とはいえ、報道にあるとおり、1995年に創業したばかりの新鋭BYDがホンダや日産を抜いたことに驚く人もいるでしょう。しかし、BYDは前年の2023年には、すでに302万4417台(前年比プラス61.9%)の年間販売台数を達成しており、中国ではナンバー1の地位を獲得しています。

 現在の中国市場は、EVに対する補助金も終わり、修羅のごとき値引き合戦が繰り広げられています。そんな厳しい状況の中で、BYDは前年比プラス60%もの数字をたたき出しました。

 ちなみに、BYDの年間販売台数302万台のうち、EVは約半数しかなく、残りはプラグインハイブリッドなどが占めます。もちろん、プラグインハイブリッド車には内燃エンジンも搭載されています。つまり、BYDはエンジンを作る技術も持っているのです。その意味で言えば、もはやBYDを「新興のEVメーカー」と見る時期は過ぎており、「激戦区の中国を勝ち抜いた強者の自動車メーカー」と認識すべきでしょう。

 実際にBYDの年間販売台数302万台という数字は、トヨタの年間1100万台には遠くおよびませんが、ホンダの約399万台、日産の約337万台は射程距離にあると言えます。

2023年の年間生産台数/販売台数
順位 メーカー 生産台数 販売台数 出典
1 トヨタグループ 1151万7622 1123万3039 https://global.toyota/jp/company/profile/production-sales-figures/202312.html?_ga=2.134399481.986304404.1725326061-1792164631.1704355816&_gl=1*1vsn5pz*_ga*MTc5MjE2NDYzMS4xNzA0MzU1ODE2*_ga_FW87SM9FNZ*MTcyNTMyNjA2MS42Ny4xLjE3MjUzMjYzNDkuOC4wLjA.
2 フォルクスワーゲングループ - 924万 https://www.volkswagen-press.jp/librarys/pdfrelease/20240315_1
3 現代グループ - 730万2451 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM055CF0V00C24A1000000/
4 ステランティス - 639万2600 https://www.stellantis.jp/news/20240222_stellantis_nv_fy_2023_results
5 ゼネラルモーターズ - 618万8000 https://www.prnewswire.com/news-releases/gm-releases-2023-fourth-quarter-and-full-year-results-and-2024-guidance-302047453.html
6 フォードモーター - 441万3000 https://shareholder.ford.com/Investors/financials/default.aspx
7 本田技研工業 418万8039 398万9812 https://global.honda/jp/investors/library/financialresult.html
https://global.honda/jp/news/2024/c240130.html
https://global.honda/jp/investors/financial_data/monthly.html?fbclid=IwY2xjawFPJ7JleHRuA2FlbQIxMAABHT-0T0lNfQAm7M-QqL7BfcDohwWKj94RsKngkcDw05YNI-1MlteQ-JRCpQ_aem_fHXydyDaCp3Z5NwImiwd3A
8 日産自動車 344万4164 337万4271 https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/240130-01-j
9 スズキ 322万4996 307万2824 https://www.suzuki.co.jp/release/d/2024/0130/index.html
10 BYD - 302万4417 https://byd.co.jp/news/2024_0105_167.html
参考        
  ヒョンデ(単体) - 421万6898 https://www.hyundai.com/worldwide/en/company/ir/financial-information/quarterly-earnings
  KIA(単体) - 308万5771 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM055CF0V00C24A1000000/
※本田技研工業のみ生産台数
(出典:各社の公表資料・報道情報より筆者作成)

 もしも、BYDが昨年と同様に年間プラス60%もの成長を達成すれば、2024年は約483万台にもなり、そうとなれば、ホンダだけでなく、本当に年間441万台のフォードさえも抜き去ってしまうことになります。

 仮に、2025年もプラス60%で成長することができたとすると年間782万台の計算となり、ステランティス(約639万台)やゼネラルモーター(約618万台)、さらにはヒョンデ(約730万台)も追い越し、トヨタやフォルクスワーゲンに次ぐ世界3位に手が届くことになります。あくまで可能性の話ですが、こう考えるとBYDがすでに新興メーカーといった位置付けにはないことが分かるでしょう。

 とはいえ、そう簡単に成長が続くわけではありません。BYDに立ちはだかる壁はいくつか存在します。

冷静になるべき? BYD成長鈍化の「可能性アリ」の理由(1)

 とはいえ、年間プラス60%もの数字が、そんなに続くほど世間は甘くはありません。報道によると、BYDの2024年の目標はプラス20%程度だとか。それでも年間360万台レベルですから、ホンダは無理でも、単体の日産を抜いてしまうという数字です。

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