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- 2023/02/22 掲載
王道から外れても問題なし?スズキ「超独自路線」が莫大な利益を生むかもしれない理由
スズキの「2030年に向けた成長戦略」の柱
スズキが1月26日に発表した「2030年度に向けた成長戦略」の柱は、「カーボンニュートラルの実現」と「新興国の成長」の2点でした。「カーボンニュートラル」の具体的な達成時期の目標は、「日本と欧州で2050年」「インドで2070年」とされました。その目標を実現するための製品分野と製造分野での計画に加え、研究開発・外部連携と投資の計画、そして売上目標が示されたのです。
製品分野の計画の目玉となったのはEVです。
■日本(2023年度~)
- 投入予定のモデル
小型SUV、軽乗用EVなど6モデル- パワートレイン比率
EV(20%)、ハイブリッド(80%)
■欧州(2024年度~)
- 投入予定のモデル
SUV・Bセグメントなど5モデル- パワートレイン比率
EV(80%)、ハイブリッド(20%)
■インド(2024年度~)また、スズキは自動車だけでなくバイクと船外機も手がけるメーカーです。バイクも2024年度から2030年度までにEVを8モデル展開予定で、EV比率は25%を計画しています。そして、船外機でも2024年度にEVを投入し、2030年度までに5モデルを投入、EV比率5%を計画します。
- 投入予定のモデル
6モデル- パワートレイン比率
EV(15%)、ハイブリッド(25%)、内燃機関(60%)
他方、製造分野でも生産工場のカーボンニュートラル化を進め、インドではバイオガス事業に参入する計画を発表しました。研究開発と設備投資は、合計4.5兆円規模を予定しています。研究開発費は電動化とバイオガス事業など、カーボンニュートラルと自動運転などの研究に2兆円(このうち0.5兆円は電池関連)、一方、設備投資として、EV工場の建設や再生可能エネルギー設備に2.5兆円を投資すると発表しています。
2030年に7兆円?強気すぎる売上目標
スズキが2030年度に向けた目標に、カーボンニュートラルの実現を強く掲げるのは、世界的な潮流を踏まえると、それほどおかしい話ではありません。技術的にもトヨタとの協力関係がありますし、巨額の研究開発と設備投資もあるため、EV展開も無理のない話です。しかし、驚いたのは、2030年度の売上目標7兆円という数字です。これは、2021年度のスズキの売上3.5兆円の2倍となる数字なのです。約10年で2倍の成長を目標としたというから、驚くばかりです。
ちなみに、2021年度はコロナ禍の影響もあり、スズキの過去最高ではありません。2018年度には3.8兆円が記録されています。また、2022年度はコロナ禍沈静化を受けて、4.5兆円の売上を予定しています。しかし、7兆円に達するには1.5倍強の成長が必要とされます。7兆円の目標というのは、それだけ大きな伸びとなります。
それでは、スズキは2030年の目標7兆円を達成することはできるのでしょうか。スズキの経営を深堀りしていくと、どうやら実現可能性の高い目標かもしれないことが分かってきました。その理由は、他の自動車メーカーがやってこなかった、“スズキだけ”の超独自路線が関係しています。 【次ページ】スズキ「超強気な売上目標」も達成できるかもしれない根拠
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