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  • 2025/04/01 掲載

AI利用「ガチ実態」調査、誰が何にAIを使っているのか?

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消費者に加え企業の間でもAI活用が広がる中、その利用実態を把握する試みが本格化している。アンソロピックは2024年12月から2025年1月にかけて、自社サービスでの400万件以上のユーザー会話を分析した調査を発表した。実際の利用データをもとにした貴重な調査と言える。同調査では、AI利用の57%が「拡張・増強型」であることが判明し、AIが人間の仕事を奪うのではなく補完している現状も明らかになった。ここでは、同調査から、AIが実際にどのように活用されているのかを解説する。
執筆:細谷 元  構成:ビジネス+IT編集部
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AI利用が多いタスク・業務トップ6
(出典:アンソロピック

アンソロピックが自社データで示すAI利用の本当の実態

 OpenAIの最大のライバルとされるアンソロピックがAI利用に関する最新の調査レポートを発表した。他の調査とは異なり、実際の利用データを(プライバシーを維持しつつ)分析したものとなり、おそらく調査時点でAI利用の実態を最も正確に反映した調査となる。またデータの収集時期も2024年12月~2025年1月と最新の状況を反映している。

 アンソロピックは、CursorやReplitといったスタートアップから、ズーム、スノーフレーク、ファイザーといった大手企業まで、幅広い顧客基盤を構築。主にB2Bテクノロジープロバイダーとしてのポジショニング強化が収益急増の背景にあるとされる。

 今回のアンソロピックの調査を特徴づけるのが、プライバシー保護と大規模データ分析を両立させた独自のシステム「Clio」の活用だ。

 従来のAI利用実態調査は、ユーザーへのアンケートや限定的なログ分析に依存せざるを得なかったが、Clioは400万件以上のユーザー会話を匿名化した形で分析。個人情報を保護しながら、実際のAI利用パターンを包括的に把握することを可能にした。

 また米労働省のONETデータベースと連携している点も特筆に値する。ONETは約2万の職務タスクを体系的に整理したデータベースで、ClioはこれらのタスクカテゴリーにAIとの会話を自動的にマッピング。プライバシーを保護しながら、どの業務でAIが活用されているのかを詳細に分析することを実現している。

 さらにAIを活用してAI利用パターンを分析する仕組みも、プライバシー保護と詳細な分析の両立を可能にしている。会話内容を要約・分類する際、個人情報の除去やデータの集約をAIにより自動的に行い、プライバシー保護を徹底。特に会話クラスタリングの手法では、類似した会話を集約することで、個別の会話内容を参照することなく、全体的な利用傾向を把握することに成功したという。

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Ciloによる会話の匿名化とクラスター化の仕組み
(出典:アンソロピック

AI利用が多いタスク・業務トップ6

 それでは、まずどのタスク・業務でAIが利用されているのか、アンソロピックの調査の結果を見ていきたい。

 最もAIが利用されているタスク・業務は、プログラミングやテクニカルライティング業務だ。アンソロピックの分析によると、全AI利用の37.2%がコンピューター関連のタスクに集中。特にソフトウェアエンジニアやデータサイエンティスト、バイオインフォマティクス技術者による利用が目立つ結果となった。

 次いで多かったのがアート、デザイン、エンターテインメント、スポーツ、メディア関連の職種で、全体の10.3%を占める。マーケティング、コピーライティング、その他のコンテンツ制作業務でAIが積極的に活用されている実態が浮き彫りとなった。また、教育・図書館関連の職種も上位に入り、学術研究や教材作成などでの利用が確認された。

 一方で、農業、漁業、林業といった肉体労働が必要な職種でのAI活用は0.1%と極めて低調だった。また医療支援、建設、運送など、物理的な作業が必要な職種でも同様の傾向が見られた。これはテキストベースの処理を得意とする現在のAI技術の特性を示唆する結果と言えるだろう。

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米国の職種比率とClaude利用割合の比較
(出典:アンソロピック

 職務タスクにおけるAI活用の深度に関しても興味深い結果が得られた。調査によると、全職種の約36%で職務タスクの4分の1以上でAIが活用されていることが判明。ただし、タスクの75%以上でAIを活用している職種は全体の約4%にとどまる。AIが職務全体ではなく、職種内の特定のタスクにおいて活用される傾向を示す数字だ。

 また、職種における具体的なAI活用例も明らかになった。たとえば、ソフトウェア開発ではデバッグやコード修正、ドキュメント作成などでAIが活用され、技術文書作成では校正や編集、フォーマット調整などで利用されている。ただし、物理的な作業や高度な専門判断が必要な場面では、依然として人間の介入が不可欠となっている。

 AI活用と収入水準にも一定の関連性が確認された。 【次ページ】AI活用に積極的な年収とは?最高収入層と低収入層が同じ
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