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- 2025/02/03 掲載
システム・オン・チップ(SoC)とは?自動車の開発競争左右する「重要な半導体」解説
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
システム・オン・チップ(SoC)とは
SoC(システム・オン・チップ)は、システムに必要なさまざまなコンポーネントを、1つのチップにまとめた集約型の半導体です。つまり、さまざまな機能を持つデバイスで構成された複数のシステムを、1つのチップ上に詰め込み「小さく」、「速く」を実現したものと言えます。SoCにより、CPUや、メモリー、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサ)など、主な半導体を1つのチップ上に実装することができ、チップそのものがひとつのシステムを司ることが可能になります。
従来、プリント基板上で複数の半導体チップを集めて実装していたシステムが単一のチップに集積されるようなイメージです。
このようにさまざまな機能を持つ半導体が1つのチップに統合されれば、チップを搭載する空間が節約でき、プリント基板設計も簡略化され、システム機能を損なうことなく電力と速度が向上します。
また、複数の半導体を別々に作る場合に比べて製造コストも下がるなど、多くの利点を得ることができます。
SoCは小型化、軽量化、高速化、多機能化などさまざまなメリットを有すため、データセンター、AI、ハイパフォーマンスコンピューティングから、スマートフォン、ゲーム、パソコン、家電製品、医療機器、産業機器、自動車など幅広い用途において不可欠なソリューションとなっています。
なぜ、SoCは自動車製造に不可欠なのか?
自動車には1台あたり1000個程度の半導体が使われていると言われており、求められる半導体の種類も用途によってさまざまです。そうした自動車に使われる半導体の中でも、SoCは自動運転技術やマルチメディアシステム(携帯電話やカーナビなど複数媒体からリアルタイムに情報を取得・処理するシステム)などにおいて必須の半導体となっています。
たとえば、現在、運転者の安全性や快適性の向上などを目的に、自動車コックピット(運転席やその周辺領域)のインテリジェント化が進められていますが、それらを実現する上で、SoCは不可欠な要素となっています。そのほか、テスラがタッチスクリーンを自動車に搭載して以降、さまざまな自動車メーカーがタッチスクリーンのサイズを大きくする動きが進んでいますが、これにもSoCは欠かせません。
2025年1月にラスベガスで行われたCES2025では、トヨタ自動車の豊田章男会長が、近未来のモビリティテストコース「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」の第1期工事完了を報告するとともに、2025年秋以降から実証実験を開始すると発表しています。ウーブン・シティでは、「都市OS」のような共通のソフト基盤を導入し、ハードウェアの違いを超えてアプリケーションやサービスを開発、連携させるといった構想が発表当初からうたわれています。
このように、自動車がネットワークにつながり、車同士だけでなく社会インフラなどとの連携や、高速なデータ処理、UI/UXの高度化や走行のデジタル制御も求められる中で、高性能なSoCの必要性が高まっているのです。
テスラ・デンソーら「半導体の内製化」に動く理由
一方、新型コロナウイルスの感染拡大時に世界的な半導体の需給ギャップが起き、車載半導体の供給不足が起きました。この問題は半導体のリードタイムの長さやサプライチェーンの複雑性に起因していると言われ、当時は自動車のリードタイムに影響を与えることとなりました。今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
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