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- 2012/06/04 掲載
自動車のセキュリティリスクを広げる?インフォテインメントの拡大と車載システムのオープン化
現実となったクルマへのハッキング
インフォテインメントとIT領域の融合
自動車業界には、Information(情報)とEntertainment(娯楽)を組み合わせた「インフォテインメント(Infortainment)」という造語がある。古くはカーラジオに始まり、今ではカーナビ、ETC、ドライブレコーダー、各種車載カメラの情報端末・機器のみならず、通信モジュールやスマートフォンによるこれらのインターネット接続、およびクラウド利用まで、インフォテインメントの領域は着実に広がりを見せている。
さまざまなサービス、アプリケーション、ソリューションを考えるうえで、自動車につながることを前提にするニーズは今後高まっていくはずだ。スマートフォンやタブレット関連のアプリやソリューションを手掛けるなら、それらが自動車やカーナビにも接続されることは避けられないだろう。
IPAの報告書の中では、自動車の盗難、電波妨害による自動車のスマートキーのロックを無効にされる脅威、カーナビに接続したスマートフォン経由で、カーナビやECU(車載コンピュータ)関連の情報が窃取される脅威、キャリア製の通信モジュールを介してエンジン・トランスミッション・ブレーキなどの制御系のコントロールが奪われる脅威などが紹介され、想定される被害や対策について述べられている。
もちろんこれらの脅威は以前から指摘されているものだ。BlackhatやDEFCONなどのセキュリティカンファレンスでは、何年も前から自動車のECUをリモートで任意に制御できた、という報告がなされているので、ご存じの方も少なくないだろう。
ただし、これまではどちらかというと可能性の実証という意味合いが強く、現実の脅威としてはそれほど深刻ではないと捉えられていた。というのも、自動車内の通信システムや制御システムは車種ごとの違いが多く、エンジンや駆動系、電装系、車載情報機器などが別々のシステム(プラットフォーム、ネットワーク)で動くものが多かったからだ。
【次ページ】進む車載LANのオープン化
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