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  • 2025/02/17 掲載

トランプ流「セキュリティ政策」の行方は? 要注目「バイデンの置き土産」への対処法

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国連人権理事会からの脱退や諸外国への関税強化など、前政権と異なる動きが連日報じられているトランプ政権。そんな新政権に関して、サイバーセキュリティ政策の面で注目なのが、政権交代の直前にバイデン氏が署名した大統領令への対応だ。暗号通信の強化などを通じた政府機関や政府調達のセキュリティ強化を指示している大統領令に対し、トランプ政権はどう対応するのか。バイデン氏の「置き土産」とも言える大統領令の具体的な中身を紹介するとともに、トランプ政権で考えられるセキュリティ政策の動きを解説する。
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トランプ政権におけるサイバーセキュリティ政策は前政権とどう異なるのだろうか
(Photo:Consolidated News Photos / Shutterstock.com)

トランプ政権誕生「直前」に発行されたバイデン氏の大統領令とは

 バイデン政権からトランプ政権に移行する直前の2025年1月16日、ある大統領令(EO)が出された。

 その大統領令は、11のセクションからなる膨大なもので、政府のセキュリティ対策について広範囲の対策強化を命じている。ソフトウェアのセキュア開発、サプライチェーンの対策強化、サイバー犯罪への対策強化、AIのセキュリティ活用、量子コンピューターによる暗号解読リスクへの備えなど、網羅的なセキュリティ強靭化策となっている。しかも、その多くに期限付きで法整備や政策の施行を明記している。

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バイデン氏の大統領令では、政府のセキュリティ対策について広範囲の対策強化を命じている
(Photo/Shutterstock.com)

 暗号化通信に関しては、IPアドレスブロックやプロトコル、DNSシステムなど、インターネットの根幹をなすリソースに対する保護策として規定されており、電子メールのやり取りを始め、各種メッセンジャー、音声や動画を含む通信をエンドツーエンド暗号化によって保護せよとしている。具体的な措置としては、DNSによる名前解決、EGP(境界ゲートウェイプロトコル)やAS番号(通常、プロバイダーや通信事業者に割り当てられる番号)にかかわる通信の暗号化などを考える必要がある

 エンドツーエンド(E2E)の暗号化通信とは、暗号化の鍵を通信する相手だけが持ち、プログラム、サーバ、サービス提供者、通信事業者などが通信内容を解読できない通信のことである。政府や法執行機関が令状をもって通信事業者に内容を開示させようとしても、中身の解読ができないような通信となる。

暗号通信の強化で直面する「二面性」

 ChromeやEdgeなどのブラウザがWebアクセスに使うプロトコルは、HTTPからHTTPSへの切り替えが進み、現在暗号化通信が基本となっている。オンライン会議やメッセンジャーアプリも通信路やパケットを暗号化しているものが多い。

 インターネットにおいて、暗号化通信が広がるのは、セキュリティ対策という側面と、通信の秘密を確保するという意味合いがある。政府や企業においては、暗号化通信を採用するのは、セキュリティ対策における機密性の担保するためだ。暗号化通信は、企業秘密や国家機密を守るための手段となる。

 だが、暗号化通信は諸刃の剣である。自分たちの通信の機密性を上げることができる一方、ほかの人の通信内容もわからないことになる。多くの暗号化通信で、これが問題になることは少ないが、ガバナンスという意味での通信内容の監視・統制がしにくくなる。犯罪行為、組織内部での違法活動、敵対行為を隠蔽しやすくなる。単純化していうなら、暗号化による機密性を取るか、ガバナンス・監視を取るか、という判断が求められるのだ。

 もちろん、現実にはそこまで極端な議論にはならず、暗号通信を禁止するという選択肢はない。二面性を踏まえた上で攻守ともに運用していくしかないのが実情である。 【次ページ】トランプ政権による「右傾化」はセキュリティ政策をどう変える?
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