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- 2010/07/22 掲載
クリス・アンダーソン氏が新たに注目するマイクロファクトリーってなんだ【○○はビジネスになるか(12)】
モノづくりの世界に大異変が起きる?
「アトムは新しいビットになる」
アンダーソン氏が編集長を務める米ワイアード誌の2010年2月号に、氏の書き下ろし記事「次の産業革命のなかで、アトムは新しいビットになる(In the Next Industrial Revolution, Atoms Are the New Bits)」が掲載された。1995年にMITメディアラボ創設者ニコラス・ネグロポンテ氏が発刊した「アトムからビットへ(現在同著名はビーイング・デジタル - ビットの時代)」を文字ったもので、アトムは「物質、モノ」、ビットは「デジタル、情報」を指す。「アトムは新しいビットになる」とは、『ロングテール』『Free』で扱ってきたような大きな変化が、デジタルコンテンツ、情報分野だけでなく、モノのビジネスの分野にも起こりつつあることを表現した言葉だ。記事では冒頭、「新産業革命」の象徴として、カスタムメイドのオフロードカーを製造している自動車メーカー「ローカルモータース」を取り上げている。以下、その内容を読み解いてみよう。
コミュニティのアイデアで夢の車を現実に
ローカルモータースは「ドライクリーニング店ほど」の小規模な工場(マイクロファクトリー)であり、「世界で初めて生産を実現したオープンソースの自動車メーカー」だという。資本金約700ドルで、フルタイムの従業員は10人ほど。その代わりにインターネットで協力する会員コミュニティは約5000人にのぼる。ただし、その車づくりは非常にユニークな工程を経る。まず、設計はコミュニティが協力して取り組む。メンバーには、プロのエンジニアもいれば車マニアもいる。高度な専門ノウハウを必要とするエンジン、駆動系、シャーシなどはコミュニティでなく専門の自動車メーカーやプロが対応する。そうして、新車のスケッチができて18カ月という短期間で、製品を市場に投入できるという。
最初の製品となったオフロードカー「ラリーファイター」は、100カ国の2900人が議論し、最終的なデザインはコンペで決めた。さらにメンバーたちが、このデザインを基に各パーツを具体化していった。部品は注文を受けてから取り寄せる。最終の組み立てには購入者も作業に参加してもらい、週末2回(6日間)程度で完成するという。
価格は5万ドルで、6月に予約受付を開始した。Webサイトによると7月現在105台の注文を受けているという。
【次ページ】新タイプのサービスの構築
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