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- 2015/10/28 掲載
造船業界の世界ランキング:今治造船やジャパンマリンユナイテッドは逆転の好機到来か
日本の貨物の99.6%は船が運んでいる
おそらく最初は「いかだ」のようなものだった船は、やがて丸太船、木材を組み合わせた船へと進化していった。櫂や櫓、帆といった船具も発明された。古代エジプトでは、帆船が登場し、ピラミッドに用いる石を、ナイル川を通じて船で運んでいた。大型の帆船による大陸間の航海も可能になっていた。たとえば、大陸から日本に渡ってきた船が、さまざまな文物をもたらしたことはご存じのとおりだろう。
人類の文明が飛躍的に発達したのは、船によって最先端の知識や物資をグローバルに広められたことが大きい。20世紀になると、石油を動力とする鋼鉄製の大型船も欧米で登場し、輸送能力はさらに高まった。
人を乗せる客船(フェリー・クルーズ船など)、軍事用の戦艦、漁船、ヨットやモーターボートなど船は多種多様だが、それらの中で現在、メインとなっているのは貨物船である。これまた、一般貨物船やコンテナ船、バラ積み船(バルカー)、冷凍・冷蔵運搬船、タンカーなど、さまざまな種類がある。
船は、鉄道や自動車、航空機と比べると、輸送スピードでは劣っている。しかし、輸送効率(同じ燃料でどのくらいの輸送量か)では、タンカーは鉄道の約10倍、自動車の約100倍に達するものもある。船は、とりわけ、大量の物資をまとめて運ぶのに適しているわけだ。そのため、今日でも貨物船がグローバル物流の主役として君臨している。海に囲まれた日本の場合、貨物総量9.6億トンのうち、実に99.6%は船によって海上で輸送されている(出典:国土交通省「海事レポート」 2014年版)。
中国の造船業が韓国を抜いて世界一に
船の優位性は輸送効率の高さ、すなわち、輸送コストの安さにある。そうしたニーズに応えるため、造船業は、低コスト化をひたすら追求してきたと言っても過言ではない。そのため、貨物船は巨大化の一途をたどってきた。造船所もコストがかからない新興国に移転した。その結果、造船の歴史をリードしてきた先進国の造船業は、見る影もなく衰退してしまった。
先進国の造船業が立ち行かなくなった理由として、自動車、航空機などに比べて、船が“ローテク産業”である点も見逃せない。LNG運搬船のような新しいニーズから生まれたハイテク船も一部にはあるが、大半の船は「既存技術を活用して、いかに安く作るか」がテーマになっている。質ではなく、量の勝負なのだ。
【次ページ】「2014年問題」で大打撃を受けた中・韓
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