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  • 2014/09/19 掲載

インテル 野辺 継男氏が語るIoTの衝撃 ゲームとクルマの共通点が導くイノベーション

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クルマとITの融合はグローバルで注目されており、その開発も大競争時代に突入している。クルマがセンサネットワークを形成し、同時に内部のデータがクラウドで結びつくことにより、自動運転の実現など、想像を越えたレベルの利便性や安全・安心を提供できる可能性があるからだ。その際にキーポイントになるのは、やはりデータ・サイエンスの力だ。先ごろ開催された「DATA Scientist Summit 2014」に登壇したインテルの野辺 継男氏は、かつて自動運転の開発を牽引してきた人物だ。同氏は「いま自動車分野で、なぜデータサイエンティストが極めて重要なのか?」という点について述べた。

オンラインゲームとクルマの共通点とは?

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インテル
戦略企画室
チーフアドバンス サービスアーキテクト
兼 ダイレクタ
野辺 継男氏
「やがて、すべてのものがインターネットにつながるIoTの時代になる。そのIoTの代表格といえるものがクルマの世界だ。まだ日本ではあまり議論されていないが、クルマの世界では、AI(人工知能)の技術がクローズアップされるだろう」

 そう予測するインテルの野辺 継男氏は、かつて日産自動車においてクルマのICT化を推進し、自動運転技術の開発に携わってきた。

 それ以前は、国内最大級のオンラインゲーム会社のCEOとして活躍していたという経歴をもつ野辺氏。そのころから現在の「クルマのIT化に関わる技術」の萌芽がみられたと指摘する。それは一体どういうことだろうか?

 オンラインゲームの世界では、2000年頃に大規模な同時参加型オンラインRPG「MMORPG」(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)が流行の兆しをみせていた。MMORPGでは、一度に5000人ぐらいのプレイヤーが集まり、人と人が関係性を持ちながらゲームを楽しめる。

 野辺氏は「そのとき絶対的に必要だった技術が、ネットワークの常時接続性とリアルタイム性だった」と説明する。

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MMORPGの特徴。常時接続性とリアルタイム性がポイントだった。ゲームだけでなく、チャットや、SNS的なプレイヤー同士のつながり、仮想貨幣の流通など、現在のネット上のサービスと同じ要素が含まれていた

 当時、韓国ではブロードバンド環境が整備され、先行してMMORPGもかなり流行していた。一方、日本国内では、ちょうどソフトバンクがYahoo! BBにてADSL事業に乗り出した頃で、各社が競い合うようにADSLサービスを提供をはじめていた時期だ。

 そして日本国内でも、あっという間に常時接続環境が浸透していった。野辺氏は「MMORPGの世界では、ゲームだけでなく、チャットや、SNS的なプレイヤー同士のつながり、仮想貨幣によるネットマネーの流通などがあり、さまざまなデータがゲームのマップ上で飛び交い、ターゲット・マーケティングのようなデータ分析の活用シーンも数多くあった。すでに10年前から、いま注目されているような“ビッグデータと分析”というネタがあった」と回想する。

 2003、4年ごろは有線でなければ、リアルタイム性を確保できなかった。しかし2014年現在は、ADSLやFTTHよりもモバイルが主流になり、この種のリアルタイムサービスもLTEによって携帯電話やモバイル端末で簡単に実現できるようになった。そして、これらの技術がクルマの世界にもブレークスルーをもたらしそうだ。

世界で進展する、携帯電話の自動車へのデータ活用

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 たとえば、MMORPGの不特定プレイヤーが操作するPCを、各クルマに見立ててみると、よりイメージが湧きやすいかもしれない。MMORPGの不特定プレイヤーはネットワークでつながっている。

 個人のIDや、バーチャルなマップ上の位置(座標)、レベル、アイテム、パワー、仮想貨幣などの情報が逐一サーバ側に投げられて、データベースが更新される。そして自分の近くにいるプレイヤーのデータを吸い上げ、マップ上でグラフィックで表示していくという仕組みだ。

 そこで野辺氏は、日産時代にMMORPGの仕組みを自動車に活用したという。これは、前述のようにMMORPGのPCをクルマに置き換えて、ユーザー自身がデータを提供するという考え方に基づくものだ。

 同氏が実用化したものとして、北海道地区において限定で提供しているクルマのスリップ情報サービスがある。

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MMORPGのPCをクルマに置き換え、ユーザー自身がデータを提供するという考え方に基づいてサービスを提供。北海道限定でクルマのスリップ情報サービスも開始した

 これは時間・場所・天気などの情報をマッシュアップして、クラウド側からスリップがしやすい地点を予測するというもの。ほぼ95%の確度でスリップを予測できたため、2008年からサービスを開始したそうだ。あらかじめスリップしそうな道が分かれば、事前にドライバーも注意して走るため、交通事故も大幅に減らせる。また迂回路をナビに提示すれば、危険な道を避けて走行できるようになる。

【次ページ】自動運転は近い将来実現するか?
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