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  • 2014/06/18 掲載

ものづくりの新潮流「Industrie 4.0」、フォードも取り組む工場全体のデジタルモデル化

シーメンスPLMソフトウェア CEO チャック・グラインドスタッフ氏

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製造業に新しい流れが生まれつつある。消費行動の多様化、グローバル化により、かつてのマス・プロデュース(大量生産)はマス・カスタマイゼーションへシフトし、ものづくりにはこれまでにない多様性が求められるようになった。こうした中で、製造方法そのものにも大きな変化が生まれている。その一つが、工場全体をデジタルモデル化する動きだ。マシンとマシンの動作連携による効率化だけではなく、人間と機械のやりとりまでもシミュレーションすることで、より効率よく、より安全な製造工程を実現するという。

製品も製造工程も複雑化する現在の“ものづくり”

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米シーメンスPLMソフトウェア
最高経営責任者(CEO)兼
プレジデント
チャック・グラインドスタッフ氏
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 グローバルな消費者に対してパーソナライゼーションが加速し、マス・プロデュース(大量生産)からマス・カスタマイゼーションへのシフトが起こったことで、ものづくりにはこれまでにないほどの多様性が求められるようになった。一方で、製品の製造方法自体も新しいテクノロジーにより激変しようとしている。こうした流れにより、製造業は世界経済成長と安定を支える役割を、再び担おうとしている。

 米シーメンスPLMソフトウェアのチャック・グラインドスタッフ氏は、こうした変化について、「世界の投資が製造業に向かい、製造業におけるイノベーションが加速されている。イノベーションを加速させている企業、国が企業の成功を握っている」と指摘する。

 イノベーションと言っても、まったく新しいテクノロジを生み出す第一義的な意味でのイノベーションはどんどん起こりにくくなっている。現代のイノベーションは、テクノロジの「交点」で起こる。グラインドスタッフ氏が例に挙げたのは、スマートフォンだ。タッチパネルや加速度センサー、通信チップなど、そこに投じられた技術は既存のものだったが、それらが交わることでイノベーションが起こった。

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世界各国で製造業回帰が進んでいる

 このように多くの技術を組み合わせることで製品自体が複雑化し、大量のデータにもとづいて意思決定しなければならないのが現在の製造業だ。そうした現状において、PLM(Product Life cycle Management:製品ライフサイクル管理)が担う役割は大きくなっているという。

「複雑性は製造業の課題だが、乗り越えることができれば力になる。関係者や製品を構成する技術を、情報でしっかりつないでいくことが必要だ。そのために役立つのがPLMだ」(グラインドスタッフ氏)

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シーメンスの考えるPLMの発展的役割

多様な視点から製品開発を検証する情報ツールとしてのPLM

 新製品の開発においては、さまざまな視点から製品の可能性を検証する必要がある。商業的な可能性はどうなのか、顧客のニーズに応えるためのコストはどの程度なのか、それぞれの担当者がさまざまな視点で製品を見てブラッシュアップしなければならない。そして実際の製品開発の現場では、それらは同時に並行して進んでいく。

 たとえばトヨタ自動車はISO26262(自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格)を取得するためにシーメンスPLMソフトウェアを導入し、複雑な情報管理を実現している。長期的な意思決定が容易になったこと、生産性向上についても効果を生み始めているという。こうした効果を生み出すのは、誰もがアクセスして簡単に情報を利用できるインターフェイスをシーメンスPLMソフトウェアが提供しているからだとグラインドスタッフ氏は強調する。

「統合された情報に簡単にアクセスできるようにするためには、ビジュアル化が大きなカギとなる。シーメンスはその分野に投資を続けており、モデルベースの製品定義を拡大してきた」

 たとえばデザイナは、より美しく使いやすいデザインを追求するが、そのデザイン変更によるコストの変化やサプライチェーンへの影響を知るのは容易ではなかった。しかし、PLMソフトウェアを使ってCAD/CAMデータや基幹システムの情報を統合し、ビジュアル化すれば、サプライチェーンや製造工程にもたらす影響、コストの変化などを視覚的に理解できる。そのため、デザイナは全影響を知ったうえで、より適したデザインを追及できるようになる。

【次ページ】Industrie 4.0は工場全体をデジタルモデル化して生産性と安全性の向上を図る
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