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- 2024/02/22 掲載
PTC会長ジム・へプルマン氏が語る、業績好調でも「製造業の未来」に危機感を抱くワケ
Seizo Trendキーパーソンインタビュー
PTCの2023年の業績は?
PTCは、CAD やCAM、CAE、PLM関連のソフトウェアおよびサービスを提供するソフトウェア会社だ。1986年にデジタル3D設計に革命をもたらした同社は、1998年には初めてインターネットベースのPLMソリューションの提供を開始している。これらの技術は、製品の設計、製造、運用、サービス改革の支援を行い、スマート・コネクティッド・ワールドにおける企業の競争力を高めている。同社の主力製品は機械用3次元CADの『Creo』とPLM製品の『Windchill』であり、重工業、電子・ハイテク、航空宇宙・防衛、自動車、消費財、医療産業務など、世界3万社以上の企業を顧客としている。
そのほか、ウェブベースのALM(Application Lifecycle Management)製品『Codebeamer』にも強みを持つ。2023年1月には、クラウドベースのSLM(Service Lifecycle Management)ソフトウェア会社であるServiceMaxを傘下に収め、同サービス領域の強化を進めている(同社として過去最大の企業買収)。2024年は、これらのテクノロジーのSaaS化を進め、クラウド連携し、ワンプラットフォームで実現することを目指す。
直近の業績もきわめて好調だ。2023年度は売上高21億ドルを達成し、2022年度に比べ10%近く伸び、時価総額は200億ドルを超えたという。会長 兼 CEO ジム・へプルマン氏は、「成長率の面でも、利益率の面でも、過去最高の1年だった」と相好を崩した。
そんな好調の同社は、2024年1月にCEOの交代を発表した。その狙いとはどこにあったのか。
好調企業のCEO交代、その狙いとは
次期CEOとなるのは、買収した企業であるServiceMaxのCEOを務めていたニール・バルア氏だ。この情報が明らかになるや、同社の株価が上がったという。へプルマン氏は、非常に良いときにバトンを渡すことになったと語る。
「業績が順調で伸びているときに交代したほうが良いのではないかということで、このタイミングに交代を決めました。ニール・バルアが次期CEOになる背景には、フィールドサービス管理の領域を強化し、当社が掲げるデジタルスレッド戦略(下図)を完成させる狙いがあります」(へプルマン氏)
このように、PTCは今後強化していきたい領域の人材をトップに据え、さらなる成長を目指す。同社がこれほど先を見据えて行動しているのには、未来に対する危機感も関係している。同社が考える、今後の勝敗を決める“重要テーマ”とは何か。 【次ページ】“ある領域”に注力しないと「明日はない」と語る理由
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