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- 2021/09/15 掲載
グローバルロジックとはいかなる企業か?なぜ日立製作所は1兆円もかけて買収したのか
世界規模で高付加価値なシステム開発を手掛ける
グローバルロジックは、シリコンバレーに本社を置き、ソフトウェアの設計や開発を手掛ける世界的企業だ。2000年に創業され、その従業員数は2万人を数える。開発センターは、北米(米国・カナダ)、欧州(ドイツ・クロアチア・スウェーデン・イスラエル・ポーランド・スロバキア・ウクライナ)、アジア(インド)、南米(アルゼンチン)と広範な地域を網羅している。そのビジネスモデルは、顧客企業から委託され、ソフトウェアのデザインや研究開発を実施するものだ。400社以上に顧客企業を抱える大手企業に成長した。2021年の売り上げは12億ドルに達すると言われる。業界に特化したソリューションも有しており、自動車・金融・通信・小売り・ヘルスケア・製造・メディアと、多様な業界の顧客を持つ。
創業後はインドやウクライナのソフトウェア開発企業を買収するなどして、安価なオフショア開発を推進していた。しかし、近年は単なるアウトソーシングにとどまらない、高付加価値なサービスを手掛けるようになっている。具体的には、ユーザーエクスペリエンスデザイン、データ分析、クラウド導入、プロトタイプ開発、コンテンツ開発なども含まれる。デジタルを起点に業務を改革するデジタル・トランスフォーメーション(DX)のコンサルティングも手掛けるようになった。
グローバルロジックが飛躍できた理由
グローバルロジックが国際的な企業へと成長した背景として、多数の企業買収が挙げられる。2000年代は特に、オフショア開発に携わる企業を買収しており、2006年のLambent(インド)、2008年Validio(ウクライナ)、2008年Cubika(アルゼンチン)、2008年3CIS(中国)などが代表的だ。一方、2010年以降のグローバルロジックは高付加価値、業界特化の戦略へ軸足を移してきた。2011年Rofous(製品とコンテンツ開発)、2011年Method(ユーザーエクスペリエンス)、2016年REC Global(組み込みソフトウェア)、2019年Skookum(デジタル戦略)、2020年Meelogic(業界特化ITコンサルティング)、2020年ECS Group(DXコンサルティング)といった例が目立つ。
また、資金調達の手法にも時代とともに変化が見られる。2006年、2008年には米国の大手ベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタルやニュー・エンタープライズ・アソシエイツから2,900万ドル以上の資金を得た。その後はプライベートエクイティに買収され、2013年にはApax、2018年にはPartners Groupの傘下に入っている。
2018年にPartners Groupがグローバルロジックを買収した際には、売り上げが5億ドル、買収金額は20億ドルだったとされる。2021年の日立による買収の時点では、売り上げが12億ドル、買収金額は96億ドルとなっている。(日立が高値掴みをしたのでなければ)わずか3年で大きく企業価値を上昇させていることが分かる。
【次ページ】日立はなぜグローバルロジックを買収したのか?
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