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- 2015/02/09 掲載
村井純氏が語るIoTの衝撃、デジタルファブリケーションは社会に何をもたらすか
すべてもモノがインターネットにつながる社会で何が変わるのか?
「internet of things」という言葉は、イギリスのRFIDタグの専門家であるケビン・アシュトンが、1999年に初めて使った造語だ。彼は、MITで「Auto-IDセンター」を共同設立し、RFIDの世界標準をつくった人物だが、村井氏が教鞭をとる慶応義塾大学が協力関係を結んでおり、SFC研究所内にAuto-IDラボ・ジャパンも設置されている。
村井氏は「当時のコンセプトは、IoTでなく、iot(小文字)だった。RFIDによってモノをトラッキングすれば、モノ同士のネットワークが可能になる。倉庫にあった商品が小売りに渡り、そこから顧客の手元に届く。つまり、流通・顧客・家庭という異なるネットワークが、ユニークな識別子を持ったRFIDによって結ばれるということだ。ここでいう“internet”は相互接続という意味合いで使われていた」と説明する。
それが無線センサを使って、ゲートウェイ経由でインターネットにつながるようになった。今度はキャピタラズされた“the Internet”の世界での「IoT」というキーワードに変容したのだ。現在では、デバイス側もTCP/IPをサポートし、the Internetにつながって双方向コミュニケーションが行えるため、当初のiotとはニュアンスが異なってきているという。
では、このIoTによって何が起きつつあるのだろうか? 村井氏は、代表的な事例として海外テレビのネットフリックス(Netflix)について触れた。
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オンライン配信会社大手のネットフリックスが制作したドラマ番組“House of Cards”は、プライムタイム・エミー賞に9部門もノミネートされた。この受賞には理由があったという。2700万のトラッキングデータを分析し、視聴者がいつ、どの映画やドラマを再生し、どの場面で停止したのか、最初から最後まで行動をすべて記録していたのだ。
テレビに双方向性が現れ、視聴者が何を考えているのか、ネットフリックス側でも読めるようになった。もしテレビにWebカメラが付いたら、さらに多くのデータが取れるだろう。
「家電とテレビがつながり、タイムスタンプと放送とチャンネルなどの関係が分かると、もっと深い情報が得られる。そういうデータを利用したマーケティングが近い将来必ず生まれてくる。いずれにせよ、新しいイノベーションを生み出そうという考え方は貴重なものだ。ネットフリックスの試みは、新たなセンサで新しい情報を取得し、まったく新しいテレビ番組をつくった走りのようなものだ」(村井氏)。
実はインターネットの広がりは、モノの世界だけに留まらないという見方もある。村井氏は、インターネットの創始者のひとりであるヴィント・サーフがTEDで講演した「INTERSPECIES INTERNET(動物種間インターネット)」について紹介した。
これは、人間がイルカやゾウ、オラウータンなどの知的な動物とコミュニケーションがとれるように、「動物種間ネット」を試みようというユニークなアイデアだ。ほとんどSFのような話なのだが、まったく有り得ないということでもないようだ。もはや本当に何でもインターネットにつながる世界が訪れることを前提に考えたほうがよさそうだ。
【次ページ】デジタルファブリケーションとIoTの融合は何をもたらすのか
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