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物価高騰が続く中、なかなか賃金上昇が期待できない状況が続いている。そうした中、自身の生活を豊かにするための1つの選択肢が、転職・副業を通じた収入アップだ。本連載では、製造企業の高年収企業は何をしている企業なのか、なぜ高年収なのか、どのような人材であれば相性が良いのかなどについて、キャリアの専門家・木上氏の視点から解説する。今回は、高年収企業として知られるファナックを取り上げたい。
ファナックの主要事業
ファナックは、工作機械や産業用ロボットを製造するメーカーで、特に工場を自動化する設備の製造・販売に強みを持つ企業です。
対象となる顧客は、工場・倉庫などを抱える製造業が中心となります。世界100カ国、260カ所以上のサービス拠点を持ち、世界中の製造業に対し、工場自動化を実現するソリューションを提供しています。
具体的には、大きく4つの事業の柱があります。
■ファナックの主要事業
- FA事業
NC(CNC)、サーボ、レーザなどを製造・販売する部隊
- ロボット事業
産業用ロボットなどを製造・販売する部隊
- ロボマシン事業
ロボドリル、ロボショット、ロボカットなどを製造・販売する部隊
- サービス事業
顧客の生産ラインを停めないための保守を担当する部隊
同社の大きな特徴に、徹底して自動化・無人化を進める、という点があります。「自動化・無人化を徹底する」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
工場・倉庫の自動化に向けた取り組みでは、工程を自動化させるロボットを導入したものの、工程間のつなぎ目など、どこかで人間が関わらなければならないシチュエーションが残り、完全な自動化にはならない、という問題が起こるケースがあります。
たとえば、金属加工作業によって機械に付着した切粉(切りくず)の除去・洗浄や、無人運転が長時間続くにつれて切粉が溜まったバケットの交換などに関しては、人の手で対応することが一般的です。しかし、そうした作業領域においても、ファナックは自動化し、工程の“無人化”を進めることに成功しています。
このように、製造プロセスだけでなく、その周辺の雑務も自動化の対象とすることで、限りなく人が介入しなくても済む工場を作ることを目指している企業なのです。
ファナックの人気製品は? どの地域で売れてる?
そんなファナックの製品は、どの製品が人気であり、どの国・地域のお客さんに受け入れられているのでしょうか。
2022年度の各事業の売上比率、地域別の売上比率を見てみると、事業別売上高の割合ではFA事業が3割近く、そしてロボット事業が4割を占めています。全体的にバランスよく事業が分散されていますが、現状ではロボット事業が大黒柱となっているようです。
地域別売上高の割合は日本国内の需要は全体の14.7%で、顧客の大半は海外となります。事業別・地域別売上を踏まえると、特定の領域に極端に偏りがあるわけではなく、バランス良く事業を展開していることが見て取れます。
ファナックが目指す姿
ファナックが掲げる理念や指針は公式HPに記載されていますが、特にインパクトが強いのはファナックの代名詞とも言える『壊れない 壊れる前に知らせる 壊れてもすぐ直せる』です。これを掲げているのは、工作機械メーカーとして、顧客である製造業の生産ラインを止めないことこそが至上命題だからと考えているからでしょう。
この理念を実現するために、できる限り部品の数を減らし、シンプルに設計することで耐久性を高めるという工夫がファナックの特徴ですが、一方で顧客が求める細かな要望に応えようと機能を足せば足すほど製品は複雑化・肥大化してしまいます。そうなると故障の原因となる箇所も増えるというジレンマが起こってしまうという難しさがあります。
そうしたバランスゲームのような、本当に難しいオーダーに応えている企業がファナックなのです。顧客の生産を止める原因となる余分な要素を省き、本当に必要な機能を追求する。ファナックの理念からは、堅実さを大切にしていることが伝わります。
ファナックの市場シェア・売上高
ファナックと他社のライバル関係を知ることで、現在の立ち位置が分かります。今回は、比較しやすいように主力となっているロボット関連事業に絞り込んでいます。下記は国内での売上高ランキングで首位となっています。
同業界における大手企業であるヤマハ発動機や川崎重工とは規模に差があるものの、ロボット分野の業績ではトリプルスコア以上の差をつけているなど、工作機械に特化することで国内トップの地位を確立しています。
また、国内1位のファナックと2位の安川電機は「世界のロボットメーカー4強」と呼ばれる位置付けにもあり、海外でのトップ争いを繰り広げています。ちなみに4強とされているのは、ファナック(日本)、安川電機(日本)ABB(スイス)、KUKA(ドイツ)の4社です。
世界のロボットメーカー4強と呼ばれる中で、ファナックは2番目の売上規模となっています。
【次ページ】平均年収は? ファナック・安川電機・ヤマハ自動機らを比較
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