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- 2014/06/05 掲載
ホンダのテレマティクス戦略、クルマはIoT・M2MやICTでどこまで安全に走行できるのか
ホンダにおけるテレマティクスの歴史
もともとテレマティクスの技術は、ナビゲーションシステム(カーナビ)が基点になっている。「Electro Gyrocator」という世界初のカーナビを同社が発表したが1981年のこと。この当時は、まだ地図にアナログのOHPシートを利用していたという。
そして1990年代に地図がデジタル化され、さらに8年後には車両に通信機能が搭載されるようになった。そこで同社は2002年にナビゲーションをベースにした「インターナビ・プレミアムクラブ」をスタートさせる。
しかし、まだ当時は携帯電話が通信の主役だった。通信料金がユーザーの負担になり、普及の足かせになっていた。そこで2010年からホンダは、3Dコミュニケーションのモジュールとしてドングルを用意し、これをナビに取り付けてサービスを提供するようにした。直近では、スマートフォン上でカーナビを展開する「インターナビ・リンク」に拡大し、さらに普通乗用車だけなく、EVや二輪車などにも適用しているところだ。
現在、ホンダのテレマティクス・サービスは、基本的に4つのカテゴリーで構成されるという。田村氏は、「まず“ナビゲーション”があり、緊急コールや盗難追跡を行う“セーフティ”や、最適ルート選択によってCO2削減を目指す“環境への取り組み”、クルマの内部情報からメンテナンスや遠隔故障診断などを行う“顧客へのリレーションシップ”が柱になっている」と説明する。
クルマ情報の活用、安全・安心なセーフティマップや省燃費ルートづくり
またクルマから集められたデータは、交通情報に利用されるだけなく、安全領域での適用も検討されているそうだ。「我々は防災研と共同で研究を進め、地震の際に道路損壊による通行可避を提示できるようにした。これは3.11の大震災のときに役立ち、通行実績情報として活用された」(田村氏)。
またクルマのフローティング情報をベースに、急ブレーキポイントを移動情報から抽出する「Safety Map Project」も進めている。
このほか、事故多発地点、学童が通学する交差点など、運転時に注意すべき危ない道や街の情報を公開。これらの情報は、カーナビでもスマホでも情報が取得できる。
次に、クルマを安全に移動するという側面からのデータ活用がある。セーフティ&セキュリティにおいて、事故自動通報を行う「eCall」や、盗難車追跡における情報収集は欠かせないものだ。
一方、エコルート(省燃費ルート探索)による環境への取り組みも重要だ。ホンダでは、すでに省燃費ルートをつくる計算ロジックを確立し、実際の燃料消費量の情報も提供中だ。スピードと燃費の関係や、加減速と燃費の因果関係などを見ながら、地図データベースを起こし、それを基に道のルート計算を行う。
田村氏は「これにより、通常のカーナビと比べて、燃費もCO2量も削減できるようになった。ある目的地に着くまでに、最短経路でなく時間が少しかかるものの、燃料消費では約18%、CO2エミッションでは約24%も削減できた」と強調した。
環境の取り組みといえば、もちろんEV(電気自動車)の活用がある。EVに関わる情報をユーザーに対して提供し、安心して移動できるようにインターナル・データが活用されている。たとえば、移動可能な走行距離を示すバッテリ残量の提示や、充電スタンド場所の教示、あるいは外部からのリモートチャージ・トリガー機能などもサポートしている。
またユーザーとの接点では「Remote Diagnosis」が用意されている。クルマの情報をセンター側にアップし、ディーラーやオペレーターに内容を提供していく。同様にアップされた情報は、ユーザー側にも迅速にフィードバックされ、車載ディスプレイやスマートフォンで表示される仕組みだ。「同じ情報を基に、オペレータを介して販売店へ誘導するサービスも用意している。これについては、すでにタイでサービスを展開しているところだ」(田村氏)という。
【次ページ】外部パートナーと連携し、新しい価値を創出するホンダの取り組み
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